ユニバーサルデザインの監修などを行うミライロ(大阪市)は、アプリを通してバリアフリー情報の投稿数を競い合う「Bmaps杯(ビーマップカップ)」を開いた。19の企業・団体が参加し、ベストバリアフリー部門(団体)には、近畿労働金庫労働組合が輝いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

ベストバリアフリー部門(団体)1位に輝いた近畿労働金庫労働組合

ミライロは、バリアフリー地図アプリ「Bmaps」を昨年4月に正式リリースした。現在は日本財団からの支援を受け、特定非営利活動法人CANPANセンターと、同アプリを共同運営している。
 
バリアフリー情報を集めることで、バリアフリーマップをつくり、障がい者や高齢者らが外出しやすい社会にしていくことを目指した。このアプリで共有できる情報は次の5つだ。施設のアクセシビリティを5段階で評価する「スポットレビュー」「入口の段差数」「コメント」や「写真」、そして、「施設の特徴・設備」である。施設の特徴・設備については、高齢者や障がい者など多様なユーザーのニーズに配慮して、エレベーターやオストメイト対応トイレ、Wi-Fiの有無など16項目に及ぶ。
 
2018年5月時点で、登録ユーザーは約8千人で、約10万件のバリアフリー情報が投稿されている。このたび、国際的に権威のあるエッスル財団が主催する「ゼロプロジェクト会議」で、同アプリがバリアフリー社会を目指した革新的な取り組みとして賞を受賞した。
 
同会議は2010年から始まり、障がいに関する課題を解決するための取り組みを表彰してきた。今回は、「アクセシブル」がテーマで、105カ国から372件のエントリーが集まった。同会議で日本の民間企業が受賞したことはこれまでになかった。
 
この受賞を記念して、Bmaps杯を開いた。個人・団体(5人以上)を対象にして、期間内の投稿数に応じて「Bコイン」を付与した。一つの施設については、「スポットレビュー」「入口の段差数」「コメント」「写真」「施設の特徴・設備」の投稿が可能で、各項目に付き1枚コインを獲得できる仕組みだ。

CSR活動やインナーコミュニケーションの一環として19の企業や団体がエントリーし、総勢648人が参加した。1万2122件の情報が投稿された

■活動に新たな視点

ベストバリアフリー部門で1位に輝いた近畿労働金庫労働組合は期間内に1万771枚のコインを獲得した。48人いる役員を9チームに分けて、途中結果を共有し、競い合いながら投稿数を増やしていった。
 
Bmaps杯へのエントリーを決めたのは、ミライロが主催したユニバーサルマナー検定を受けたことがきっかけ。協同組織の福祉金融機関で働く職員かつ労働組合の執行委員としては、「多様なニーズに対応すること」が求められる。2018年1月に執行委員全員が同検定を受けた。この縁から、Bmaps杯への参加を決めたという。
 
参加したことで、同組合の小寺敏雄・書記長は、「新たな視点を得た」と話す。普段から利用している駅やショッピングセンターなどでは、バリアフリー設備や障がい者に関するマークの整備が進んでいることに気が付いたという。

「Bmapsユーザーの視点で自分たちの職場や居住地域を再確認することができた」とし、今後は活動の幅を広げながら、社会貢献活動を展開していきたいと話した。

クレカも有益情報

作戦を練る日本航空の有志社員

ベストインフルエンス部門で1位に、ベストバリアフリー部門で2位に輝いた日本航空では、86人の有志社員が参加した。

同社では誰もが安心して旅行しやすい社会を目指して、空港のチェックインカウンターや機内などのバリアフリー化に取り組んでいる。バリアフリー社会の実現を目指すBmaps杯の趣旨に共感し、エントリーを決めた。社内に呼びかけたのは、東京2020オリンピック・パラリンピック推進部の辻村和紘氏。「バリアフリー情報を投稿することで、社内の意識が高まることを期待した」と話す。

参加したことで、施設や街中にある小さなバリアにも気が付くようになったという。その一つが、「クレジットカード払いの有無」である。「クレジットカードによる支払いだ
とおつりを確認する手間を省くことができる」。

「普段は意識していなかったこともバリアフリー情報になると分かった」と振り返る。第2回は、7月13日まで団体・個人でエントリーを募集している。投稿期間は7月18日から8月26日。詳しくはこちら

【第1回 Bmaps杯 結果一覧】
ベストバリアフリー部門 企業(団体)
※企業(団体)ごとに、投稿によって獲得したコイン数を競う部門
1位:近畿労働金庫労働組合
→10,771コイン(2,678レビュー相当)
2位:日本航空株式会社
→7,787コイン(2,119レビュー相当)
3位:自由が丘セザンジュ
→5,798コイン(1,254レビュー相当)

ベストバリアフリー部門 個人
※ユーザーごとに、投稿によって獲得したコイン数を競う部門
1位:磯谷 俊仁さま
→4,600コイン(814レビュー相当)
2位:Jun Sakuraiさま
→4,207コイン(701レビュー相当)
3位:としゆきさま
→4,129コイン(559レビュー相当)

ベストインフルエンス部門
※企業(団体)に所属しているユーザー数を競う部門
1位:日本航空株式会社    →86人
2位:奈良学園大学      →85人
3位:大和ハウス工業株式会社 →70人

グッドレビュー部門
※ ユニバーサルデザインのプロフェッショナル(審査員)に
より、優れた投稿を決定する部門
【安藤審査員グッドレビュー】
・投稿者:磯谷 俊仁さま
・スポット名:青梅市立青梅中央図書館
(審査員:NPO法人 MAMIE 代表 安藤 美紀)
【垣内審査員グッドレビュー】
・投稿者:AKさま
・スポット名:丸善日本橋店
(審査員:株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉)
【平原審査員グッドレビュー】
・投稿者:nmさま
・スポット名:ルサルカ
(審査員:hullabaloo 代表 平原 礼奈)


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