中央省庁や自治体が障がい者雇用数を水増ししていたことが相次いで発覚している。民間企業として日本で初めて障がい者雇用支援を行ったゼネラルパートナーズ(東京・中央)の進藤均社長は、「ガイドラインの見誤りはうそ。虚偽だ」と言い切る。コメントを掲載する。

ゼネラルパートナーズの進藤社長

根底には障がい者への偏見

各省庁がガイドラインを見誤ったというコメントが見受けられますが、これはうそです。障害者手帳を持っているか持っていないか。彼らがそんな簡単な判断を間違えるはずがありません。

水増しとしてカウントされていた人は、「健康診断で緑内障や糖尿病と診断された人」「会社を休職している人」「過去に死亡した人」。

この方々、当然手帳は持っていません。そもそも取ることもできません。本人は障がい者としてカウントされていることを知らされていないのです。これは間違いではなく、虚偽です。

こうしたことが起きた背景には、障がい者は「仕事ができない」という差別的な考え方があったからでしょう。「面倒を見るのが大変だ」という偏った考え方もあったことでしょう。

組織にこの考え方が根付いていることが、一番の問題なのです。声を大にして、「障がい者は仕事はできる」と言いたい。「面倒を見てもらわなくても何の問題もない」と言いたいです。

この根底の考え方を社会全体で変えていかない限り、障がい者を採用してもすぐに辞めてしまうでしょう。

とにかく、今回の事件は、心へのダメージが大きい。単に省庁が悪かった、というだけではありません。国民全体の風土に与える影響が大きすぎるし、社会には嫌悪感が残るでしょう。

これらを払拭していくためには、組織のダイバーシティ化(多様性)を推進することが必須です。障がい者雇用に積極的に取り組んでいる会社は、子育て、病気、がん、介護といった人たちも活躍できる職場になっています。当事者もそうでない人も安心の職場です。

多くの組織がダイバーシティに取り組んでこそ、一億総活躍社会に近づくと思います。まず省庁から取り組むべきです。

≪株式会社ゼネラルパートナーズについて≫
障がい者専門の人材紹介会社として、2003年に創業。その後、「就職・転職サイト」「障がい別の教育・研修事業」「就労困難な障がい者による農業生産事業」など、幅広い事業を展開している。2016年10月には障がい者アスリートなど、支援の対象もさらに広げており、これまで就職や転職を実現した障害者の数は5000人以上に及ぶ。「誰もが自分らしくワクワクする人生」という ビジョンのもと、今後は障がい者に限らず、不登校、ひきこもり、LGBTなど様々な不自由を抱える方々のサポートへ、ビジネスの領域を広げていく。会社サイト:http://www.generalpartners.co.jp


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