NPO法人チャイボラは、日本で初めて児童養護施設や乳児院などの社会的養護施設の人材確保を主軸として活動する団体だ。厚労省は平成29年度の児童虐待件数を13万3778件と発表し、調査を開始した平成2年から27年連続で増えていることが明らかになった。児童虐待は増える一方だが、児童養護施設の職員数は横ばいで人材不足が喫緊の課題だ。同団体の鴇田(ときた)陽介さんに団体立ち上げの経緯や今後の活動について寄稿してもらった。(寄稿・NPO法人チャイボラ=鴇田陽介)

「ほしいのは物ではなく、人なんだ」チャイボラの始まりは児童養護施設の職員のこの一言から始まりました。代表である大山は、ベネッセコーポレーションこどもちゃれんじ事業部所属時代、破棄される教材を児童養護施設に寄付しようと思い、施設に問い合わせたところ「物は足りているがそこで働く人が足りていない」と言われ、辞表を出しました。

児童養護施設の子どもたちと遊ぶチョイボラのメンバー

児童養護施設で働こうと思い門を叩いたところ、資格がないと働けないと言われ、夜間で保育士の資格取得をしながら非常勤務として児童養護施設で働き始めました。

施設の人材不足を痛感する一方で、「社会的養護」に関心を持った学生がうまく施設に繋がらず別の業界に流れていく様子を見て、その間を取り持つ任意団体チャイボラをクラスメイトと共に立ち上げました。

始めは、児童養護施設を始めとした社会的養護に関心のある学生に声を掛け、児童養護施設で子どもたちと遊ぶイベントからスタートしました。

毎回20名前後の学生が集まり、そこから施設に就職する人も出てきました。その後、施設が実施する見学会のサポ―トをさせて頂きました。一番始めは自立援助ホームの見学会の企画運営をさせてもらい、前年度の約10倍の人数を集めることに成功しました。

大学生と社会的養護施設のマッチングを行う

その後、児童養護施設、乳児院をはじめとした多くの社会的養護施設からの依頼を受け、今年度は社会福祉協議会児童部会人材対策委員会と連携し、多くの施設での見学学習会のコンサルを実施しました。

ここで施設関係者から多くの信頼を得ることができ、来年の春から、社会的養護専門の情報サイト制作を人材対策委員会と作成することが決まりました。

今、学生はスマホで就活する時代です。うまく検索ができず、施設に一度も踏み入れることなく別の業界に進んで行った仲間を見ているからこそ、まずは、正しく社会的養護について知ってもらい、その上で選択できるような基盤を作り上げたいと思っています。


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