上天草市では高齢者の人口が平成17年の30.7%から37.5%にまであがって少子高齢化となった。農業人口の減少、若者による担い手の減少、地域活性化を課題として地域おこし協力隊を受け入れている。人口217人ほどの湯島で上天草市としては初めて地域起こし協力隊として活動をされている莟和宏氏と浅場智恵子氏に話を伺った。(武蔵大学松本ゼミ支局=福迫 大樹・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)

莟和宏氏(左)と浅場智恵子氏

莟和宏氏は社会復帰をする支援団体で何回か湯島を訪れたことはあったが定住のつもりは全くなかったという。しかし訪れていくうちに定住の意思が芽生え始めた。

地域おこし協力隊になりたいというよりもこの湯島に定住したいという想いと地域のために働きたいという想いから地域おこし協力隊に参加した。

現在は物産、観光系の活動に力を入れており活動資金はクラウドファンディングで資金を集めている。湯島を応援してくれる人、猫が好きな人など返礼品目的ではない人も多く驚いたとともにうれしく思ったと話す。

熊本日日新聞に取り上げてもらい湯島の本を出せるまでに知名度が上がったことで観光客が多くなったことも活動の成果であると語っていた。活動の中で島の方にも協力をしてもらい活動することもあるが、その活動はボランティアになってしまうため負担になってしまうことが課題だ。

さまざまな地域で地域おこし協力隊がいるが島の自然に触れゆったりするなど働き方に融通が利き、自由にやりたいことができる点が上天草市の地域おこし協力隊の特徴と指摘した。

三年の任期が終わった後も湯島に永住して湯島大根を生産して生活していきたいと考えている。ネットを利用してネットショッピングという形で湯島の特産品を県外の地域にも出荷して地域を盛り上げていく。

浅場智恵子氏は今までの生活を変えたくて、東京から熊本へとやってきたが、自分のやりたいことを考えている時期に熊本地震がおき自分に何かできることはないかと考え地域おこし協力隊に参加したという。

自分がしたいことが湯島では見つかる気がして参加したとも語っていた。地方では東京から来た人はよそ者扱いされることが多いと言っていたが、湯島の人は寛容に受け入れてくれたという。湯島の人と猫がそのままの自分を受け入れてくれた気がして安心感を覚え、便利さはないけど豊かさを感じた。

一年前ぐらいから熊本大学の人たちと空き家を利用して無料の観光客向けのカフェを作る活動を行っている。カフェでは絵描きさんの絵を飾ったり、ミニコンサート行ったりして湯島の人と観光客のコミュニケーションの場となることを期待する。

個人的には島の人とコミュニケーションをうまくとっていくことが目標だ。最初は長崎と熊本の言葉が混合した独特な湯島の方言を理解するのに苦労した。しかし湯島に限らず地域でがんばっている人たちと交流が持てることがメリットであり、地域おこし協力隊自体が「人と関わっていくこと」が仕事の一部でもあると語っていた。

過疎が心配される今日において地域おこし協力隊の活動は地域活性化だけでなく地域間のコミュニケーションの面においても大きな影響をもたらす注目していくべき活動であるだろう。


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