私たちがエネルギー源として頼っている石炭や石油、天然ガスといった化石燃料をたくさん燃やし続けてきたことにより、地球の平均気温は上昇し続けています。1880年から2012年の間に地球の平均気温は0.85度上昇し、さらにこのままいくと、2100年には最大で4.8度上昇するといわれています。地球温暖化が進むと何が起こるのか。地球温暖化防止のための環境教育に力を入れるNPOに話を聞きました。(JAMMIN=山本 めぐみ)

オリジナルキャラクターで地球温暖化防止のための環境教育

屋根の上に太陽光発電パネル「そらべあ発電所」が設置された幼稚園にて、寄贈式典の様子。両端にいるのは「そらべあ基金」のシンボルキャラクター、ホッキョクグマの兄弟「そら」と「べあ」

NPO法人そらべあ基金(東京)は、地球温暖化防止を目指し、子どもたちへの環境教育と再生可能エネルギーの普及・啓発活動を行っています。

団体名にもなっている「そらべあ」は、この団体のオリジナルのキャラクター。地球温暖化によって北極の氷が溶け、お母さんと離ればなれになって泣いている「そら」と「べあ」というホッキョクグマの兄弟が、もう一度お母さんと暮らせる日を夢見ながら、地球温暖化を止めるために頑張っている人に出会う旅を始めるというストーリーが設定されています。

「キャラクターを通じて、これから未来を担っていく子どもたちに地球温暖化について知ってもらいたい」と話すのは、そらべあ基金の理事を務める青木一夫(あおき・かずお)さん。

そらべあ基金では、環境教育の一環として「そらべあスマイルプロジェクト」を実施。これまでに63の幼稚園・保育園に、協賛企業から寄付を受けて太陽光発電設備「そらべあ発電所」を無料で設置してきました。

お話をお伺いした、そらべあ基金理事の青木一夫さん(左)と市瀬慎太郎さん(右)

「寄贈の際には園で式典を行います。この時、『そら』と『べあ』の着ぐるみが登場し、子どもたちに『どうしてそらとべあは泣いているんだろう?』という問いかけから始めて、地球温暖化について考えてもらう機会を設けています。地球温暖化という言葉は園児には難しく初めて聞く子どもたちが多いのですが、涙を流している等身大のキャラクターは、彼らに大きなインパクトを与えます。また、園の先生方や保護者の皆さんの環境意識も高めてもらえたらという思いもあります」(青木さん)

もう一つ、そらべあ基金が力を入れているのが、子ども向けの環境教育です。東京近郊の小学校での出前授業や環境イベントへの出展を通じ、子どもたちが地球温暖化に関する理解や知識を深められるよう活動しています。

授業ではほとんど取り上げられない地球温暖化

そらべあ出前環境授業の様子。授業の前半では地球温暖化と再生可能エネルギーについて、クイズを交えて紹介

なぜ、大人ではなく子どもを対象に活動しているのでしょうか。そらべあ基金の理事であり、団体の発起人でもある市瀬慎太郎(いちせ・しんたろう)さんは、次のように話してくれました。

「子どもに向けて活動している理由の一つは、大人よりも子どもたちの方が未来の地球で長く生きていくから。気温が1度も2度も上昇するこれからの世界で生きていかなくてはならないのは幼い子どもたちです。にもかかわらず、文部科学省が出している学習指導要領によると、小学校では地球温暖化というテーマについてはほとんど取り上げられていないことがわかりました」(市瀬さん)

そらべあ出前環境授業の後半では、太陽の光で灯るソーラーLEDランプの工作を行い、それぞれ自宅に持ち帰って使ってもらう。そらべあのマスキングテープなどを使って、一人ひとりオリジナルデザインのランプを作る子どもたち

「大人になって地球温暖化の脅威を目の当たりにした時、『知らなかった』『誰も教えてくれなかった』ではいけない。子どものうちに得た知識により地球温暖化問題を意識するようになれば、社会に出てから、仕事や家庭生活の中で、安い・便利といった価値観だけでなく、地球環境に良いかどうかという価値観を重視した選択をしてくれるはずだと期待しています」(青木さん)

地球温暖化の影響により、ホッキョクグマが危ない

北極に暮らすホッキョクグマの親子。年々氷が少なくなり、頭数が減っている

溶けた氷によってお母さんと離れ離れになってしまった「そらべあ」。こういったことが実際に起きているのか、お二人に聞いてみました。

「北極は地球温暖化の影響を最も受けやすい地域のひとつ。北極の氷の面積は10年ごとに3.5〜4%ずつ減っており、1980年代から2012年までの間に日本列島およそ8個分にあたる300万平方キロメートルが姿を消したといわれています。当然、氷の上で生活するホッキョクグマにも影響が出ていて、今後35年の間にその数が今の1/3以上減少するといわれており、絶滅危惧種に指定されています」(青木さん)

2100年には地球の平均気温は5度近く上昇

北極の氷の分布を比較した図。左が1980年代の9月の最小時期の平均的分布、右が2012年9月16日の最小分布。出典:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

地球温暖化の影響は北極にとどまらず、他にも様々な問題が予想されると二人は指摘します。

「このままいくと、2050年には地球の平均気温は2度上がり、2100年には最大4.8度上昇すると言われています。『なんだ、2度ぐらい大したことないじゃない』と思われるかもしれませんが、考えてみてください。普段42度のお風呂に入る人が、2度高いお湯に浸かれるかというと、熱くて浸かれませんよね。
平均気温の上昇が地球全体に起きた時、気候変動や農漁業への影響など、壊滅的な打撃を与えます。例えば、暖かくなると雨の降り方が大きく変わります。これまでにないような大雨が降って洪水が増えたり、以前は日本に来なかったような巨大な台風が頻発したりして、自然災害が増えるでしょう。また、雨がもともと少ない地域では大規模な干ばつや砂漠化、暑さによる乾燥から山火事が発生したりするでしょう」(青木さん)

「気候変動によって、これまで採れていた農作物が環境に適応できなくなり、採れなくなることも考えられます。お米ができにくくなったり、農作物の栽培適地が北に移動したりして、たとえば極端な話、沖縄で採れていた野菜や果物が北海道で採れるようになったりして、食料生産も大きな打撃を受けることになります」(市瀬さん)

生態系にも多大なる影響が

海水の温度が2度上昇するだけでサンゴは白化し、そのままだと死んでしまう

「南極や氷河などの厚い氷が溶けていくことによって、海水の量と体積が増え、海面の水位が高くなることも懸念されており、2100年までに平均海面水位が最大82センチ高くなるという科学者たちの予測も出ている」と市瀬さん。この影響により、南太平洋では水没しつつある島国も出てきているといいます。

「日本は砂浜のある海岸がたくさんありますが、海面上昇によりその約8割がなくなってしまうと言われ、そうなると、子どもたちが大好きな海水浴もできなくなってしまいます。砂浜や干潟がなくなると、渡り鳥やカメなど自然の生き物の生態系にも大きな影響が出てきます」(青木さん)

健全なサンゴ礁は海の生き物の宝庫。地球温暖化の影響による白化現象が進んでおり、海の生態系への影響が懸念されている

「生態系でいえば、海の中の生き物も同じ。沖縄では地球温暖化の影響で海水温が上がり、サンゴ礁の白化現象が起きています。このままでは多くが死んでしまうでしょう。サンゴは、共生する褐虫藻の働きにより、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す、地上でいう木のような重要な役割を果たしていて、海にいる4割以上の魚たちがサンゴ礁に生息していると言われています。サンゴ礁の存在は、海の生き物たちにとって非常に大切なものです」(市瀬さん)

「サンゴ礁が死んでしまうことによって海の生態系に与えるダメージは相当大きいものがあると思います。海の生態系は、当然陸にも影響します。そして、一度生態系が変わってしまったら、もとに戻すことは困難です」(青木さん)

地球温暖化を防ぐためには

そらべあの着ぐるみに触れる子どもたち。「これから22世紀まで生きる子どもたちにとって、地球温暖化は避けては通れない大きな問題。それに気づき、できることから行動していくことが大切です」(青木さん)

地球温暖化を防ぐために私たちに何ができるのか、尋ねてみました。

「『地球温暖化』とか『北極の氷』と聞くと、何か遠い世界の話に聞こえるかもしれません。でも、私たちの住む日本にも災害や農作物の生育不良など確実に影響が出てきます。そのことを知って、たとえば電気の使用量が見えるメーターを使って電気使用量を意識したり、車に乗るのを控え、公共交通機関を使おうと意識したりしながら、一方で太陽光発電など自然エネルギーをどんどん取り入れてほしい」と青木さん。

海外では、国や企業が積極的に自然エネルギーを採用しているといいます。「温暖化という世界規模の課題を解決する努力をしていかないと、そのうちに企業活動も停滞してしまうでしょう。豊かな未来を作っていくために、国や企業、そして、一人ひとりがいかに動いていくかが鍵になると思います」(青木さん)

地球温暖化を防止するための環境教育を応援できるチャリティーキャンペーン

チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、そらべあ基金と1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルのチャリティーアイテムを販売します。「JAMMIN×そらべあ基金」コラボアイテムを1アイテム買うごとに700円がチャリティーされ、そらべあ基金が各地で環境教育を実施するための資金になります。

「子どもたちが、自分たちの生きる未来の環境について考える機会があまりにも少ないと考えています。東京近郊に限らず、今後は全国で出前授業やイベントを開催したい」(青木さん)

「JAMMIN×そらべあ基金」1週間限定のチャリティーアイテム。写真はベーシックTシャツ(3,400円(チャリティー・税込)、カラーは全9色)。他にも七分袖Tシャツやキッズ用Tシャツ、パーカーなども販売中

JAMMINがデザインしたコラボデザインに描かれているのは、ホッキョクグマの兄弟が暮らす小さな氷山と宇宙。同じ地球という星に生きる私たち。実は遠くで起きているような出来事も、すべてはつながっているというメッセージを表現しました。
チャリティーアイテムの販売期間は、2月4日〜2月10日までの1週間。チャリティーアイテムは、JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINの特集ページでは、そらべあ基金の活動に関するより詳しいインタビュー記事を掲載中! なぜ地球温暖化が起こるのか、そのしくみも紹介しています。こちらもあわせてチェックしてくださいね。

「この涙を止められるのは、あなたです」。未来を担う子どもたちに地球温暖化防止と再生可能エネルギーの可能性を伝える〜NPO法人そらべあ基金

山本 めぐみ(JAMMIN):
JAMMINの企画・ライティングを担当。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたオリジナルのデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしている京都の小さな会社です。創業6年目を迎え、チャリティー総額は2,700万円を突破しました。

【JAMMIN】
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