地震、洪水、台風など、近年さまざまな自然災害が日本を襲う。未曾有の事態に見舞われた時、命を救うライフラインとなるのが電気だ。自然エネルギー事業を展開するNTN株式会社(以下、NTN・大阪市西区)は、2019年5月31日、コンテナ収納移動型独立電源「N³エヌキューブ」を発表。「N³エヌキューブ」の登場で、災害時、風・水・光の3つの自然エネルギーから発電・蓄電が可能になる。(オルタナS関西支局特派員=北川 由依)
◾️次の100年に向けて、持続可能なエネルギー開発
NTNは、自動車の足回りを支えるアクスルベアリングで世界シェアNO.1、エンジンの動力を車軸に伝えるドライブシャフトで世界シェアNo.2の実績がある。昨年には創業100年を迎え、次の100年に向けて自然エネルギーを利用した新規事業の一つの柱として、風力発電や水力発電の分野に力を入れてきた。
これまでNTNは、「NTNグリーンパワーステーション」や「NTNマイクロ水車」など、自然エネルギーを利用した独立電源型商品を開発し、販売。そして2019年5月、新たに発表したのが、「N³エヌキューブ」だ。
◾️自然エネルギーをいかして防災・減災を進める
災害時に求められる設備はさまざまある。特に近年、災害が多発する中で、情報の受発信や安否確認に欠かせないスマートフォン等の電力確保の問題が浮き彫りとなった。
こうした状況を受けて、各都道府県は防災備蓄倉庫の整備を推進。しかし、人口1万人当たりわずか3台の水準に留まっている。
そこでNTNは、自然エネルギー発電装置を収納し、被災地へ空・海・陸からの輸送ができ、短時間で設置、発電可能な「N³エヌキューブ」を開発。被災地の生活に必要な機能を「医・食・住」3つの観点から提供する。
◾️電気や備蓄食に加え、プライベート空間の提供も可能
「N³エヌキューブ」一基には、100Vのコンセント、AEDなどが搭載されており、900食分の備蓄食も保管することが可能。いざという時の生活を支えてくれる。また、水濾過器を使用すれば、近くに川や海、プールがあれば飲料水の確保も可能。電子レンジや炊飯ジャーも使えるので、赤ちゃん用のミルクを温めたり、ご飯を炊いたりすることもできる。
さらに、避難所では確保が難しいプライベート空間としても利用可能。赤ちゃんの授乳や着替え、時には診療所として、さまざまなシーンで活躍しそうだ。
「N³エヌキューブ」は、災害時のみならず、平時にもスマートフォンの充電や休憩スペース、夜間照明としても利用できる。公園や学校に配置することで、地域の安全・安心に役立ちそうだ。
いつ起こるかわからない自然災害。いざという時、平時から利用しているものをそのまま生かすことができれば、心強いに違いない。<PR>