老舗子ども服ブランドのギンザのサエグサは、環境や社会貢献活動に取り組むキーパーソンを招いた対談企画を行っています。今回、ゲストに招いたのは、エシカル消費の普及啓発活動を行う末吉里花さん。エシカル消費を普及するにあたって、「買いましょう」ではなく「知りましょう」と伝えています。
*この記事は後編となります。前編はこちら

環境保全、環境教育などを通して社会貢献に取り組むさまざまなスペシャリストに、ギンザのサエグサの三枝亮社長が話を伺う「Green Dialogue」。記念すべき第10回のゲストは、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんです。末吉さんは、「エシカル消費」の普及啓発活動を行うとともに、エシカルの「案内人」を育成する「エシカル・コンシェルジュ講座」も開いています。

子ども向けブランドとして、何ができるのか話し合った。対談は銀座にある「SAYEGUSA ザ・メインストア銀座」内で行われた

「一部の権力の下に多くの犠牲」

――末吉さんがエシカルを知ったきっかけは何でしょうか。

末吉さん:実は、テレビのレポーター時代は、エシカルなんて言葉は知らず、自分のことしか考えない生活をしていました。消費に関しても、背景など気にせず自分の欲しいものを買っていました。

転機はTBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターになったことです。プライベートも含めてですが、75カ国ほど訪ねた中で、自分なりにある共通点が見えてきました。それは、どこの世界も、一握りの権力の下に、多くの人や環境が犠牲になっているということです。

最も胸が痛んだのは、2004年のキリマンジャロです。当時、温暖化の影響で、キリマンジャロの登頂にある氷河が、2010年から2020年の間には溶けてなくなってしまうと科学者たちが警告していました。その氷河の状態を確かめるために登りました。

1900メートル地点で、子どもたちが植林活動をしていたのです。それも、祈りながら木を植えていました。氷河の雪解け水の一部は彼らにとって生活用水になるので、氷河がなくなってしまうことは死活問題、「ぼくたちは登ることができないから、お姉ちゃんお願いね」と言われたことを鮮明に覚えています。

キリマンジャロの頂上についたのですが、氷河は大きく減退していて、その時点で、ほとんど残っていませんでした。自分たちの生活が影響を及ぼしていることを知り、日本でこういうことが起きていることを伝えたいと思い、ライフワークとして取り組み始めました。

神奈川県鎌倉市に住んでいたので、海岸沿いのゴミ拾いを始めたのですが、環境問題は一人がアクションを起こしても、どれだけ意味があるのかなぁ、と自問自答を繰り返すだけでした。

何かいい方法はないかと模索しているときに、フェアトレードを知りました。環境も守るし、生産者にとっても優しい、日本に暮らしながら、途上国の状況を変えていくことができる。これなら私もできると思い、取り組みを始めました。14年も前のことです。

末吉さんはエシカルが当たり前な社会をつくるため次世代の担い手の育成にも力を入れている

――10年以上も続けてこられたのですね。啓発活動を続けてきて、手応えはどうでしょうか。

末吉さん:2015年に国連で採択されたSDGsの影響もあり、この3年で社会の価値観は大きく変わってきたと実感しています。

年に100回以上講演をやらせていただいているのですが、環境や人に配慮しないと、これから先の時代では立ち行かなくなると考えている経営者は少なくありません。この時代の変化に乗らないと、「置いて行かれる」という風潮にさえなっていると思います。

◆この記事は「ギンザのサエグサ オフィシャルサイト」から転載しました。この続きはこちら

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