鹿児島県姶良市にある商業施設、イオンタウン姶良内のスタジオを拠点に活動している「あいらびゅーFM」。姶良市を中心にラジオ放送をしているコミュニティFMだ。今回は、その代表である上栫祐典さんに事業内容や局の理念などについて話を聞いた。(武蔵大学松本ゼミ支局=岸野 愛弓・社会学部メディア社会学科2年)

イオンタウン姶良の1階にある放送局、「あいらびゅーFM」

2017年4月にあいらびゅーFMが開局して以来、防災面における放送含め地域に特化した放送を行っており、県域以上の規模のメディアでは扱わないきめ細やかな情報も網羅できる媒体として期待されている。

局の理念としては「地域を元気にする放送局」を掲げており、「ある地域に特化した媒体の存在意義は、他の媒体と役割分担をしつつ、自分たちにしか伝えられない情報をいかに細かく伝えられるかである。」と上栫さんは話す。

あいらびゅーFMでパーソナリティーをしている人は経験者とは限らない。「以前別の放送局で勤めていた」などの経験よりも、「この地域のことをどれだけ語れるか」を重視してパーソナリティーを決めているそうだ。

あいらびゅーFMではフリーマガジン事業も行なっている。「clubあいらびゅーカード」という会員制のカードもあり、3カ月に1回発行されているフリーマガジンに掲載されているお店でカードを提示することでお得な特典が受けられる、という仕組みになっている。

カードの会員数は2500人程度である。(2019年6月現在)局の収入のおよそ半分はこのマガジン関係が占めており、このマガジンは営業ツールとしての役割を果たしている。フリーマガジンの配布は全て手配りで行われており、実際に現場まで行って直接マガジンの加盟店であるスポンサーさんにマガジンを渡すといった方法は、広範囲の地域を対象にせず特定の地域に特化しているからこそできることである。

姶良市という地域のコミュニティの中で、スポンサーさんとの友好的な関係を保ちつつ地域から愛されるようにするには、そのような直接的な関わり合いが大切なのだと感じた。

実際に配布されている「clubあいらびゅーMAGAZINE」

今後の課題としては、2年目までは赤字決算だった売り上げを、まずは黒字決算にする事が最優先である。さらに、長期的な視点での課題としては、エリア内人口の減少を踏まえた設計が必要である。

実際に生放送に出演する筆者(写真右から、あいらびゅーFM 代表取締役=上栫祐典さん、武蔵大学松本ゼミ支局=丸山久留実、山本美月、岸野愛弓)

「ローカル局が無くなった町は地元への関心が薄れ、後退していってしまう。それを避けるためにも、地域の情報は地域の方々にきちんと流通させられる状況を残したい」と上栫さんは語る。




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