10月27日に、TEDxSapporoのカンファレンスが行われた。TED(Technology Entertainment Design)は、著名な人物を招いての講演会を開催している非営利団体である。TEDの精神である「ideas worth spreading(価値のあるアイデアを広める)」という考えのもとに、TEDからのライセンスを得て世界各地で発足しているコミュニティがTEDxである。その札幌支部であるTEDxSapporoの今年のカンファレンスには、300人を超える参加者が訪れ、またその様子は全世界にライブ配信された。(オルタナS北海道支局=伊藤 綾里)

TEDxSapporo2019のスタッフチーム。多くのボランティアのおかげでこのイベントは成り立っている CC BY-NC-ND 2019 TEDxSapporo

今年のカンファレンスは、全6組、計9名のスピーカーを迎えて行われた。それぞれのスピーカーを手短ながら紹介していきたい。

新谷紫恩さん、橋本向陽さん、阿部恭大さんの3人は、世界大会にも出場し受賞経験もある競技ヨーヨーの選手。共に練習してきた三人が揃って出演するのは初めてのステージとなったが、それぞれの使用するヨーヨーの特徴を活かした見事な演技を見せた。

酪農教育ファームファシリテーターの金澤睦司さんは、学生時代に単身カナダに向かってからの過酷な経験と、そこで出会った動物達の暖かさを語った。大事な人の大事なモノを大切にすることが、上手くいくコツなのだという。

アルゴリズム建築家の柄沢祐輔さんは、自然の中にあるルールや規則性を取り入れた建築を、世界でもかなり初期から行なっていると語った。秩序と多様性を両立させた建築物は、多くの人を魅了してやまない。

塚本薫さんは、ラジオパーソナリティを努めながら、子供も親もみんなが集える、地域コミュニティサロンである『ぴらけしみんな食堂』を運営している 。地域の人みんなが幸せに暮らせるコミュニティ実現の為に、他人事ではなく「自分ごと」として考える大切さを語った。

2014年のTEDxSapporoにも登壇している株式会社植松電機代表取締役の植松努さんと、北極冒険家の荻田泰永さんは、前回の登壇時に出会い意気投合したという。荻田さんが北極や南極に持っていくソリを製作している植松さんは、ノウハウ無しで物作りをする大変さを語り、また二人で次に作るソリの構想について熱く語り合った。

クリエイティブディレクターの浅井雅也さんは、少し図々しくなっても思ったことを言葉にすることが大切だという。やりたいことを想像し、共有することでその多くが実現するということを、パラ卓球のロゴ・ポスターデザインでの経験を交えながら語った。

ステージに立つ今回のスピーカーの皆さん。参加者からは温かい拍手が送られた CC BY-NC-ND 2019 TEDxSapporo

Cross Overする機会を

身近な人との会話がきっかけで何か新しいことを思い付くことがあるように、全く異なるジャンルの人と話すことで、もっとクリエイティブなアイデアが生まれることがあるのではないだろうか?今年のテーマである”Cross Over”には、そんな意味が込められているという。イベントで講演したスピーカーのジャンルは様々で、参加者も休憩時間にそれぞれの意見を交流させるなど、テーマに沿った内容となっていた。

本イベントのオーガナイザーである鈴木さんに話を聞くことが出来た。TEDxSapporoの開催目的は、札幌から価値あるアイデアを発信することと、次世代のリーダーを育てることの二つ。今までに61組のスピーカーにアイデアを発信してもらっており、回を重ねるごとに人の輪のつながりを感じるようになっているという。

高校生の無料招待を行なっている他、若い世代のためのTEDxYouth@Sapporoは第2回の開催が決定しているなど、成果は少しずつ表れている。どちらもすぐに結果が出ることではないが、少しずつ達成していきたいと語った。

Cross Overしながら成長していく、TEDxSapporoのこれからの成果に期待していきたい。




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