海洋プラスチックごみを再資源化し、製品化する事例が増えている。アディダスが海洋環境保護団体「パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズ」とコラボレーションした「adidas X Parley」シリーズを筆頭に、NTTドコモやP&Gも海ごみを使った製品づくりに乗り出した。背景には、海ごみ問題への関心を高め、行動を起こすきっかけにしてもらいたいという狙いがある。(オルタナ編集部=多田野 豪)
アディダスは、パーレイ・フォー・ジ・オーシャンズと協力し、海に廃棄されたプラスチックゴミを再生して作ったランニングシューズの新製品を2017年5月から販売している。
NTTドコモは3月5日~8日の4日間、沖縄県の那覇空港で「15%しか守れないスマホケース」の展示会を開催した。「15%しか守れないスマホケース」とは、同社社員が海岸で回収したプラスチックをリサイクルしたもの。それを展示することで、多くの人に海ごみ問題を考えてもらうことが目的だ。
同社は、国内外で清掃活動をしているgreen bird(東京・渋谷)と連携し、沖縄の海洋保全活動「Cover Smartphones, Recover Nature feat.OKINAWA」プロジェクトを立ち上げた。ごみ拾いには、同社の社員33人が参加した。
「15%」という数字は全国の海岸に漂着したゴミのうち、回収できたゴミの割合を示している。名前の通り、スマートフォン本体を15%しかカバーしていない。
同社プロモーション部の川島崇典第2コミュニケーション担当主査は「本来のスマートフォンケースとして機能しない形で表現することで、海洋ごみ問題を分かりやすく表し関心を持ってもらうことが目的だ」と説明する。いまのところ製品化の予定はないという。
■P&G、海洋プラゴミ6トンを洗剤容器に
P&Gは2019年11月上旬から、日本国内の海岸で回収されたプラスチックごみを再生し、ボトルの原料として採用した台所用洗剤「JOY Ocean Plastic(ジョイオーシャンプラスチック)」を発売した。約6トンのプラごみを回収し、容器の25%に再生プラを使用する。生産量は55万本に上る。
■コスメキッチン、100%海洋プラごみのバッグ発売
オーガニックコスメショップ「コスメキッチン」を展開するマッシュビューティーラボ(東京・千代田)は2019年7月から100%海洋プラスチックごみからできたショッピングバッグ「SUSTAINABAG(サスティナバッグ)」を販売している。
こうした企業の取り組みは、海ごみ問題に対する関心をさらに高めそうだ。