新型コロナウイルス対策で、休眠預金から数十億円を緊急投入する方針が明らかになった。塩崎恭久・休眠預金活用推進議員連盟会長がオルタナ編集部の取材に応じた。新型コロナで失業者やDV被害者など社会的弱者が増えたため。5月中にまとめる予定だ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

休眠預金の活用は、10年以上取引がない銀行口座預金を社会課題の解決に役立てる仕組みで、2018年1月に休眠預金等活用法が施行され、2019年度から資金分配が始まった。

金融庁によると、2014年から2016年度の休眠預金は、年間に1,200億円程度発生し、そのうち500億円程度が預金者に払い戻しされているという。

所管する内閣府は今回、2020年度の助成予定総額33億円とは別に、数十億円規模を休眠預金の財源から引き出し、緊急支援に充てる意向だ。

今回の動きは、特定非営利活動法人岡山NPOセンター(石原達也代表理事)が4月24日、塩崎会長に送った提案書がきっかけだった。これを受けて塩崎会長は4月末、休眠預金活用推進議員連盟の幹部を集めて討議した。

石原代表は、「全国のNPO1003団体へのアンケートを踏まえて提案書をつくった。長期化するコロナ禍によって、収入のめどが立たなくなったNPOは多く、課題を抱えている人への支援が行き届かなくなっているので休眠預金の活用を訴えた」と話す。

塩崎会長は「今年度の助成総額33億円は使い切る予定なので、特別に緊急枠を設けることで概ね一致した。金額はまだ分からないが、数十億円程度になるだろう。ニーズは高まっているので5月中にはまとめたい」と取材に答えた。

休眠預金は、指定活用団体である日本民間公益活動連携機構(略称JANPIA、東京・千代田、二宮雅也理事長)が全国の資金分配団体を通じて、NGO/NPOなど現場の活動団体に支給する。

日本民間公益活動連携機構・二宮雅也理事長

JANPIAは休眠預金等交付金活用推進基本計画に沿って、毎年度、事業計画を内閣府に提出し、審議会での承認を得てから助成業務を行う。初年度である2019年度の助成総額は約29.8億円、2020年度は3月27日に審議会が「33億円」を承認したばかりだった。

今後は新型コロナに対応した緊急枠を設けるため、審議会で基本計画を変更する。その上で、JANPIAが事業計画を再度内閣府に提出し、審議会の承認をもらうという手順を取る必要がある。内閣府休眠預金等活用担当室の松下美帆参事官は、「通常は特別枠を設けるには複数回の審議会を開くが、緊急事態なので、スピード感を持って臨みたい」と話した。

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