地域活性化を色んな切り口から紹介し、学ぶイベント「VISIONS(8/27-28)」。山梨県を拠点に、耕作放棄地の資源を生かした事業を展開するNPO「笑顔つなげて」代表理事の曽根原久司氏の講演が行われた。主な実績は下記の通りだ。
・捨てられていた木をタダ同然で買い取り、4ヵ月で700万の売上をだす。
・耕作放棄地を田舎移住希望者や地元企業の職員がボランティアとして一緒に開墾し作付。
出来た作物で和菓子の新商品を開発。
・不動産・建築会社と組み、タワーマンション住民による田植え体験ツアーを開催。ひのきの廃材を使った住宅やベニヤ板の共同開発。
・捨てられていた規格外の農産物の活用事業。
・水田の用水路や小川を使った小水力発電事業。
曽根原さんが活動を始めて16年。これだけ多くの素晴らしい実績を上げてきた彼は「知的農業ビジネスマン」という印象だった。元々銀行などの経営コンサルをしていたが、バブル崩壊時に金融業の限界と、農的回帰の将来性を感じ脱サラして、山梨県に移住した。一番初めに手掛けたのは、薪ビジネスだ。捨てられていた木の再利用なので、原価率は驚きの7%。曽根原さんは、事業を始める前に徹底的に調査・分析を行い、収益が上がるかどうか判断している。その為、賛同する企業も右肩上がりというわけだ。
山梨県に移り住んだ理由も、耕作放棄地が全国2位であり”使えるのに捨てられている資源”が多いと知ったためだ。
今後、山梨県と一緒に、食やエネルギーなど人間の生活に必要な物を、「山梨県内自給率100%」目指すプロジェクトが始まるという。曽根原さんは「この国には、実は沢山の資源がある。これから必要なのは、その資源を活かす人材だ。都市と農村をつなぎ、事業企画出来る人を育てたい」と言う。えがお大学院を開校し、インターンや社会起業家育成、同じような取り組みをしている団体とのネットワーク作りも積極的に行っているそう。柔らかな語りと圧倒的な事業実績。曽根原さんと仕事したい!と会場の誰もが思ったはず。(オルタナS特派員 中川真弓)