今住んでいる街にどんな思いを抱いているだろうか。地元に帰ると安心するが、住んでいる東京の空気には馴染めない。そんな話は良く聞く。
紫牟田伸子さんのレクチャーは都市に対する自負とデザインに関わるお話。彼女はシビックプライド研究会」にて活動しているデザインの専門家「デザインプロデューサー」だ。シビックプライドとは都市に対する自負のことで、ローカルプライド(郷土愛)やナショナルプライド(愛国心)とは少し違う。住んでいる街をより良い場所にするために自分自身が関わっているという意識を伴う当事者意識に基づく自負心だ。分かりやすく言うと、自らが街を選ぶということだ。
そのシビックブライドを持つ為に、紫牟田さんのようなデザインプロデューサーが「コミュニティデザイン」という仕掛けをつくっていく。国内外の様々な事例をもとにコミュニティデザインの有効性や必要性を説いた。
「(有名な観光地など)何かがあるから誇りを持つのではない。みんながそれぞれ街に夢を持つことが誇りにつながる」という言葉にははっとさせられた。
ロンドンではオープンハウスといって様々な建築や住宅を週末だけ解放する試みがあるという。また、柏の葉アーバンデザインセンターでは開発中の町に住民を参加させる試みを行っており、様々な情報を提供して街の未来を描いてもらうプロジェクトを進めている。
デザインはより良いコミュニケーションの為にあるという新しい視点を得られた。(オルタナS特派員 原彩子)