興味のある旅のプランをウェブ上で公開して、それに共感した人が集まって、みんなで旅を作っていくサービス「trippiece」(トリッピース)。運営は株式会社trippieceで、設立したのは現在中央大学4年の石田言行(いしだいあん)さんを中心とした平均年齡22歳のwebベンチャーだ。

2011年の7月31日にサービスをオープンして、これまでにユーザー数は5000人を超す、2012年2月は単月で旅行企画成立額2000万円を達成する見込みである。

石田さんは「趣味や目的が同じだけど、知らない人と行く旅はまさに非日常の世界。日常よりもオープンに打ち明けて参加者たちが本音で語り合えるので、非日常から入ったつながりが貴重なつながりへと変わっていく」と旅の魅力を語る。——(聞き手オルタナS特派員池田真隆)

石田言行(いしだいあん)さん


ーー2011年の8月1日にα版をリリースしました。2012年1月19日にデザインや機能を大きく変えてリニューアルするのですが、どの点が変わったのか教えてください。

石田:みんなで旅を作っていくという、サービスの基本コンセプトは何も変わっていません。変わったことは、旅を作ることに対してのデザインが大きく違ってきます。以前は旅を作るというよりも、旅を「告知する」ような使われ方をされるデザインとなっていました。今回は旅を「みんなで作る」というところによりフォーカスしました。

■2012年は千の旅を生み出す

ーー今年2012年は大学を卒業する年になりますが、今年の抱負を教えてください。

石田:自社のサービスを通して1000個の旅企画を実現させることです。そして、総勢1万5千人が旅を通じてお互いの交流をはかれるようにすることが狙いです。

ーー大学1年時から国際協力系のNPOを立ち上げて国際協力には関心があった石田さんですが、思い出に残っていることは何ですか? また、それは貴社の「好きで隔たりない世界をつくる」というvissionにどう影響を与えましたか?

石田:「うのあんいっち」という国際協力NPOを大学1年の時に立ち上げました。そして、大学3年の夏にバングラデシュへのスタディツアーを実施しました。単純にそれが楽しかったです。

企画内容としてはソーシャルビジネスを学ぶために、グラミン銀行などに行ったのですが、そこで見たものや聞いたものが刺激的でした。

一緒に行った仲間もすごく良かったです。TwitterやFacebook、で集めたのですが、みんなソーシャルビジネスについておのおのの角度から考えていて、とても有意義な時間を過せました。

その時から参加者のみんなでスタディツアーの内容を企画していたので、旅を作ることに主体性を感じて、それが今までに体感したことがないような感覚でした。

終わったあとにも飲み会を複数回行い、そういう旅の形は今までにあまりなかったので、それが自分の中で印象に残っています。

さらに、現地の人ともつながりが出来て、そういうつながりが残るサービスがあることによって、現地の人と協力してまた新たな旅企画を作れることも出来ます。実際にその後、参加してくれた女子大生がインターンをしにバングラデシュへ行きました。

趣味や目的を軸に人と人をつなげあわせる。そうすることによって、人を国籍とか肌の色などの表面上の属性で区切るのではなく、「あなたは何が好きなの?」という中身を問う会話から始まり、外見や属性だけで人を判断しない世界を作れます。

東日本大震災での義捐金への感謝を伝えに行った台湾旅行企画の台湾人との交流写真。


■今は、旅そのものが目的では無い

ーー旅をすることが多くの人にとって魅力的なものの一つだという事は自明ですが、「時間が取れない」という理由で多くの人が旅をすることを諦めます。このように物理的に旅に出ることが難しい人に対してはどうアプローチしていますか?何か工夫があれば教えてください。

石田:単純に時間が取れないわけではなく、時間はあります。どうやって時間を配分していくのか、そのプライオリティの問題であると思っています。プライオリティの上げ方としては、現代は旅自体が目的になることはなくなってきました。

昔は旅の目的は旅そのものでした。しかし、今は違います。バングラデシュにスタディツアーに行ったのも、ソーシャルビジネスを見てみたかったことと、交流を求めていたことが目的です。

この二つが大きくプライオリティを上げるために必要なことだと思っています。つまり、旅以外の目的をきちんと設定してあげることが一点目。さらに、交流機会をしっかりと設けることが二点目。

特に若者はインターネットの登場でリアルなつながりが希薄化しているのが特徴だと思っています。しかし、つながれるのなら誰でもいいわけではなく、気が合う仲間を求めています。

これらを含めて考えると、現地の人と、旅の参加者が、つながりたい欲求はすごく高いと思うので、きちんとそこを刺激する旅のテーマを設定することが必要です。

お金や時間の問題はプライオリティの問題だと思っています。先の二つがきちんとユーザーの心に響けば「時間が無い」という人も旅に出る可能性は十分にあります。

ーー「趣味や目的が共通する知らない人と旅に出る」という体験はこれまでにない刺激をもたらすと思います。石田さんが実際に体験して感じた魅力を教えてください。

石田:旅というのは非日常を味わうものです。しかし、それに知り合いがいてはせっかくの非日常の世界観に日常が入り込んできてしまいます。それが悪いわけではないのですが、日常の延長線上になってしまいます。

けれど、まったく知らない人と行くことで日常の自分よりもオープンに自分を打ち明けられます。そこが一つの良いところで、本音で語りあえることにつながるのです。普段と違う場所だからこそ色々なことを話しあえる雰囲気があります。そして、気の合う仲間が出来てくると単純にそれだけで楽しくなります。終わったあとも旅の話をつまみにお酒を飲みかわすこととなり、非日常から入ったつながりが貴重なつながりへと変わっていきます。

もちろん、旅の初めの頃はお互い距離があり、ぎこちないです。しかし、その旅自体がワクワク感を高めてくれます。ウェブ上でたまたま集まった趣味が同じ人たちが旅を通じて新たな友人になっていくことは、一人旅や友達と行く旅とは違った魅力があると実感しています。

■世界中に友達を作り、世界を身近にしていきたい

ーー学生起業家ということで、学業と事業に追われている毎日だと思いますが、今の時間をどう感じて過していますか。

石田:自分の好きな旅に直結することをやれているので楽しいです。しかし、それと同時にいくら進んでも答えの無い問いに向き合っているようで難しいです。ですが、5年後に死ぬとしたら、今のことを続けていたいと思えるかが、大切なことだと思っています。僕は絶対にやっていると思います。そこには何の迷いもありません。これから先もとことん、旅で人と人を繋ぎ合わせることを追求していきたいです。そして、肌の色や国籍、宗教などを超えて世界中に友達を作って、世界を身近にしていきたいです。




台湾旅行企画に参加した参加者の一人が作成した動画。trippieceの作り出す世界観が詰まっている。




石田言行(いしだいあん)
株式会社trippiece代表取締役/中央大学4年/学生NPO法人うのあんいっち元事務局長

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