湘南に、studio COOCA (スタジオ クーカ)というアートスペースがあります。
COOCAの由来は、「どう食うか?」。ここは、知的や精神にハンディキャップを持った人たちが、「どうやって自分で稼いでご飯を食べるのか」を考えて、実現するための場所なのです。
現在、60名以上のメンバーがアーティストとして所属し、日々、創作活動やグッズの制作を行っています。
彼らのつくっているものが、とても格好良いので、10名に絞って作品を紹介させていただきます。
① 川村 紀子 (Noriko Kawamura)
見つめると、見つめ返してくる目。色鉛筆に塗り込められた迫力と、場面の切り出し方に息を飲みます。看板作家として、過去に日本テレビ発行「三分クッキング」表紙絵、TBS「だいすき!!」 サウンドトラックのジャケットなどを手がけています。
② 伊賀 高史 (Takashi Iga)
「ネコ」シリーズとして猫のイラストを多く手がける一方、油断のないファッションとポージングの「ひと」シリーズも描いています。毎日新聞コラム「ねこのあくび」カットとして採用。
③ 横溝さやか (Sayaka Yokomizo)
COOCA所属の絵本作家。2007年に逗子市の絵本コンクールで最優秀賞を受賞しています。「ピ・ヨンジュとオレ3世」の紙芝居シリーズは、ピ・ヨンジュ&オレ3世のコンビが世界を舞台に活躍するストーリー。イベントなどでは、本人によるナレーション付きで奇想天外な物語を堪能できます。
④ 赤司 寛和 (Hirokazu Akashi)
キルティングのような柄とドットが醸し出すエキゾチックな雰囲気に、電車、バス、スイーツなど、本人の趣味が混じり合い、独特の世界が生まれています。
⑤ 清水壮一郎 (Souichiro Shimizu)
傍目から見ると同じに見えるのですが、尋ねてみると「AKB48のあっちゃん」だったり、「モーニング娘。の矢口真里」だったり。独自の采配で描かれる女の子の絵に、気がつくとハマってしまいます。
⑥ 大庭 航介 (Kosuke Oba)
見たこともないリズムの模様が繰り返され、ぶつかり合って、エネルギーの吹きだまりのようです。一枚描くのにとても時間がかかるそうですが、そりゃそうだ。2010年、劇団「創」の舞台背景横断幕として作品が採用されています。
⑦ 池田 ジャスティーヌ (Justine Ikeda)
子供服のようなカラフルな色遣いと、自由にはみだしていく形に惚れぼれしてしまいます。
⑧ 水野 貴男 (Takao Mizuno)
木こりのような大きな手で、力を込めて白を埋めていきます。圧倒的な筆圧なのに、仕上がりは繊細で優しいから不思議。
⑨ 松本 倫子 (michiko Matsumoto)
脳の中がこんな柄なのではないかと思うほど、完成された世界観。もしレスポートサックのポーチにこんな柄があったら欲しいです!
⑩ 二見 幸徳 (Yoshinori Futami)
淡い筆遣いで描く食べ物の絵と、現実主義なコメントとのギャプが可笑しくてときめきます。「食べ物」シリーズのほか、幼少期から綴った文章をまとめた詩集も発表しています。
COOCAには、まだまだ沢山の作家が所属しています。他の作家の作品は、ホームページのアーティストギャラリーから閲覧できますので、ぜひご覧ください。
http://studiocooca.com/artist.html
また、ウェブショップからはグッズも購入できます。バッグ、ブックカバー、ポーチなど、日常づかいできるものが色々あるので、覗いてみてください。
http://shop.studiocooca.com/
実は、studio COOCAは、NPOではなく株式会社(社指定生活介護・就労継続B型事業所)。国の補助を受けながらも、基本的には作品とグッズの売り上げや、企業へのデザイン提供によって生計を立てているのです。
設立から2年。展示をして、グッズを売って、ファンを増やしているアーティスト集団studio COOCA。もはや福祉を完全に脱し、アートやデザインのフィールドで活躍しはじめています。今のうちから追っかけといて損はないはず。(オルタナS特派員 笠原名々子)
■studio COOCAのホームページ http://studiocooca.com/