一年前。未曾有の大震災が東北地方を襲ったあの日、僕はちょうど大学受験を終えたばかりでした。
震災直後、頭に浮かんだのは「被災地の受験生のこれから」でした。きっと来年の入試は待ってくれないだろう。現地の中高生には震災を理由に進学を諦めてほしくない。そのような思いから「参考書宅救便」という被災地の中高生に学習教材を届ける活動を始めました。

昨年6月に気仙沼を訪れたときに見つけた教科書

震災直後、自分自身の中で初めて「日本人である」というアイデンティティが生まれました。純粋に「日本のため東北のために何かしたい」そう思いました。このように感じた若者は、決して僕だけではないと思います。
しかし、この一年を通して感じたことは「想っているだけでは何も変わらない、忘れてしまう。」ということ。

「想い」はお金では買えないかけがいのないもの。その想いは「かたち」にすることでさらに広がっていき、人々を笑顔にする「大きな力」があると感じました。

東北の現状を見据え、自分の生活を見直し、行動にうつすこと。
漠然とした不安を抱える今だからこそ、どんなに小さいことであっても「日本を東北を想い行動する」ということの意味は大きいと感じています。

行動し続けること、声を出し続けることこそが風化を食い止めるのだと思います。
あの日、あの時に生きていた僕らができることは、震災を忘れずあの混沌とした毎日の中で生まれた日本の姿を後世に伝えていくことです。(寄稿・参考書宅救便副代表、学習院大学経済学部1年小檜山雄貴)