短期的な支援ではなく、長期的なまちづくりへ

――最後に今後についてお聞かせ下さい。

(渡)私たちは4月24日に一般営業を再開しますが、遠刈田温泉には宿泊施設が
たくさんあります。(※インタビュー当日は営業再開前)
宿泊施設は実際のところとして有料で泊まって頂けるとありがたいので、セルフサービスの部分を増やす代わりに安く宿をご提供できれば、ボランティアの方の
ためにも、被災地のためにも、そして、宿のためにもなります。
今回このような良い流れが出来たので、震災後宿泊客の減ってしまった、この
遠刈田温泉にそうした動きが広げられないかと、今は系列の旅館も含めて周りと
交渉しています。

(松) 被災という言葉には地震、津波、原発の風評被害と色々な意味があると思うんですね。私は亘理で『地震の被災地』が『津波の被災地』を支援するというモデルを作りたいと思っています。
そして、何より亘理のファンを作りたいです。例えばボランティアで出会った
地元のイチゴ農家さんが、またイチゴを作れるようになったら必ず買うと思うんですね。
今、多くの方が宮城に来ていますが、こんなにたくさんの人が宮城に来るなんて
今後100年間無いと思うんです。
なのである意味、今をチャンスとして捉えてボランティアの方々に亘理のファンになってもらい、単なる短期的な支援ではなく、長期的な視点でのまちづくりに繋げられたらと思っています。

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取材を終え、私は2つの原点に気付いた。
仕事とお金についてである。
松島さんと渡辺さんが今回のアクションを起こした理由は

『人の役に立ちたいから』

という1点だけであった。その想いと縁がつながり、このボランティアの受け入れは成功した。
これこそ『仕事の原点』だと思う。

そしてお金。これは会社を儲けさせるためではない。続けるために必要なんだと
強く感じた。今後の道として宿泊施設の無償提供から有償提供という道を二人が
選んだのは、営利目的ではなく、サステナブルな活動にしたいという理由からだ。
それが可能になることで、松島さんが言う「長期的なまちづくり」も進んでいく
ように思う。

取材から数日後、改めてまっつん(松島さん)から連絡が来た。
『次の受け入れ先旅館が決まりました!』
彼の声は、やりがいに満ちていた。

松島宏佑さんブログ   http://blog.livedoor.jp/mattsun00/
温泉山荘だいこんの花HP http://www.ichinobo.com/daikon-no-hana/
(オルタナS 殿塚建吾)