京都に「食を通じて社会を愉快に」を理念に掲げて海産物卸業を行う「食一(しょくいち)」がある。田中淳士さん(24)が大学生のときに立ち上げた会社だ。

転機は大学3年生のとき。学生の起業家を育成するセミナーで、すでに学生で起業をしている人やこれから事業を興そうとする同世代の人たちと出会い、次第に「起業」に興味を持ち始めるようになったという。
もともと田中さんは九州で120年以上続く魚の仲買業の次男であったこともあり、衰退する日本の漁業を活性化させたいと思っていた。そこで産地直送型の事業を考えビジネスコンテストで発表したところ、見事優勝。そして2008年、大学を一年休学して「食一」を起業した。

食一の特徴は珍しい魚を扱っているところだ。都心部にはあまり出回らずに地元の漁師さんしか食べないような地魚を「海一流」ブランドとして飲食店などに卸している。漁師さんは今まで捨てていた”眠れる宝”を売ることができ、またお店側は市場では見ない珍しくて美味しい魚を手に入れることができる。
このように現在は産地と消費地をつなぐ役割が主な事業だが、今後は自分たちで獲った魚を自分たちのお店で提供することも視野に入れているようだ。そうすることで消費者に美味しい魚を提供するだけでなく、漁師の声をダイレクトに伝えることが目標だ。

創業3年目にして順調そうに見える田中さんだが、意外にも「学生のときにもっと外に出ておけばよかった」と後悔しているという。
「大学生活においては、何をするのも自分次第。そんな自由な時間が4年間も与えられているのだから、その時間を使ってもっと外に出て、色んな人に出会い、色んな話を聞き、色んなことに挑戦するべきだ」と学生の背中を押してくれた。

■食一 http://www.shokuichi.jp/