エイズ孤児とは、片親もしくは両親をエイズで失った18歳未満の子供のことだ。エイズについては知っていても、エイズ孤児を知らない人は少なくない。エイズ孤児の約9割はアフリカ地域に集中し、14秒に1人増加している。

そのエイズ孤児の支援をしているNGOプラスを設立したのは、門田さんがまだ大学院生のときだった。

就職活動時、「こっちの道ではない」と悟った

大学3年の夏、就職活動が始まった。大学で開かれた企業説明会に参加した門田さんは、「私には無理だ」と思ったそうだ。「私の行く道ではない」と悟り、就職活動をしないことに決めたという。何か根拠があったわけではない。ただ自分の直感に従っただけだった。

周りが就職活動をしている頃、国際協力に興味があった門田さんは、自身初めての海外となるフィリピンに、ボランティアとして1ヶ月程滞在した。不安はなかったのかと聞くと、「不安は何もなかった。それよりもワクワクした」と話した。

海外でボランティア活動を経験し、大学院へ進むことを決意する。大学院ではアフリカを研究している教授と出会い、「一度行ってみよう」と思った門田さんは、休みを利用してケニアを訪れた。

ケニアはHIV陽性者が多くいて、問題になっていると聞いていた。しかし、病院でボランティアをしていたにも関わらず、一度もエイズ患者に会うことはなかったという。「違和感を憶えた」と、門田さんは当時を振り返る。そこには、エイズ患者に対して差別があるため、感染している事を他言できないという背景があったのだ。

エイズの正しい知識がないために、「前世で悪いことをした人がかかるもの」と信じている人や、一緒に食事をしただけで感染すると思っている人もいる。

とにかく夢中だった

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