同社は1957年に海上船舶金物の製造工場として初代代表、岡室昇之眞によって創業された。その後、建築用、住宅用と事業の幅が広がり、2008年に現代表が就任。最も力を入れている事業は海上コンテナの固縛金具の製造販売で、兄弟会社の大洋製器工業(大阪市西区)の事業の一部を同社に統合し、世界シェア1位を目指している。
放射線を防ぐためのカバーの製作を東京電力の発注で請け負った大手建設会社のルートから「つり天秤を作ってほしい」という依頼がきたのは2011年5月。緊急を要するため、提示された納期は通常の半分の2カ月。しかも、同社が扱う吊り天秤の3倍もの大きさの設計・製造は初めてだった。
そのため、一から図面を作るだけでなく、現地までの運搬方法を考え、原発のカバーに適した大きさの天秤を製作する工場を持つ協力会社まで探す必要があった。条件が厳しすぎたため一度は依頼を断ったが、依頼主から懇願され、社内で話し合った末「国の一大事だ。我々が力になるならば」と天秤の製作を引き受けることにしたという。