NPO法人クロスフィールズ(東京・品川)が提供する「留職」プログラムを活用して、アジア新興国へ社員を派遣する日本企業が10社を突破しました。留職とは、企業の社員を新興国のNGOなどに派遣し、現地の社会課題の解決に向けて活動する取り組みです。2013年度に新規に導入を決めたのは、エヌ・ティ・ティ・データ、電通国際情報サービス、日産自動車、日立ソリューションズなどの5社で、自動車など新たな業種の企業が加わりました。

昨年度から導入している6社でも全社で継続導入が決定し、これで「留職」の導入企業は合計11社となりました。各社が「留職」を導入する狙いはさまざまですが、主なものとしては「グローバル人材の育成」「新興国での事業開発」「組織風土の活性化」など。

例えば、日産自動車が「留職」を導入する狙いは、R&D部門の若手技術者の、「人間力向上」。同社人事部は、「社員に自分の枠を突き破るような経験、『破』の体験をしてほしい」と、モビリティ(移動)に関連する社会課題の解決への取り組みを通じて、社員の『人を惹きつける力』を伸ばすことを目指しているとのこと。

なお、同社で11月下旬に開催された「『留職』プログラム応募説明会」には約200人の社員が参加するなど、社内でも大きな関心を集めています。エヌ・ティ・ティ・データでは、急増する新興国での多様なビジネスニーズをにらみ、グローバル人材の育成を急いでいます。

「留職」プログラムは、米国ではICV(International Corporate Volunteering:国際企業ボランティア)と呼ばれ、アイ・ビー・エムなどの企業が取り入れており、2011年時点で21企業が導入、年間約2000 人のビジネスパーソンが新興国に派遣されるなど注目を集めています。