バングラデシュで革工場を経営するファルク・ホセインさんは、他の工場で差別的扱いをされたり、給料を払ってもらえなかったり、失業した人を積極的に雇用している。ファルクさんの人情味厚い噂は同国で話題となり、まさに「駆け込み寺」状態。「雇う側と雇われる側」という労使関係を乗り越えたチームは、急激に成長している。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
ファルクさんは2013年から、本牛革を使って名刺入れやノートカバーなどを製造する工場を同国に建てた。日本人向けにリーズナブルな値段で販売し、売れ行きも好調だ。2015年1月時点で工場に100人を超えるスタッフを雇用している。同国は、「世界最貧国」ともいわれ、仕事に就けず収入がなく、飢え死にする人があとを立たない。ファルクさんは、そんな現状をビジネスで解決したく、同事業を展開している。
同国の名門ダッカ大学を卒業後、日本に単身で留学、IT技術を学び、ボーダレス・ジャパン(東京・新宿)に入社した。貧困を解決する事業として、「本革工場」にたどり着いた。
社会起業家ファルクさんが作る工場は、発展途上国には珍しい労使関係を超えた組織(ファミリー)ができつつある。ファルクさんの経営者としての人柄を知れる投稿が彼のSNSにあがっている。
たとえば、こちらの投稿。
さらに、こちらの投稿も。
この投稿を見たボーダレス・ジャパンの田口一成会長は、「手術代と今後の治療費は俺が払うよ。すぐ振り込みするから金額を教えて」と連絡した。すると、ファルクさんは、「会長有難うございます。彼女がすごい黒死んでた私の親戚誰もいないから死んだらこの辺のお墓に入れて下さいまで言われた、会長含めて皆さんの気持ち伝えますすごい喜ぶと思います。今回に関してバングラマネジメントチームで分けて支払います僕とマスンバイ多く払えれば今回に関して足りると思います」(原文まま)。
バングラデシュのマネジメントチームみんなで彼女の医療費を立て替えることにしたという。
人情味の厚いファルクさんのもとには人が続々と集まり、その勢いに、同国の革業界のドンから「うちの工場にいる工員がキミの工場に逃げ込んでいると聞いたが、これ以上採用しない方が良いぞ」と脅されてしまった。
しかし、ボーダレス・ジャパンから金銭的・人的支援を送り、逆境に挑む。田口会長は、「このチームワークとファミリー意識こそが、この会社を真の『ソーシャルビジネス・カンパニー』たらしめている所以です」とファルクさんを誇る。
「『私たちは途上国の貧しい人を助けています』と言って、美しいビジネスプランを書いてソーシャルビジネスコンテストで受賞しても現実は何も変わらないのです。僕らは徹底的に『実』を取りにいく会社です。本当の『ソーシャルインパクト』だけをひたすら追求し続けている社会起業家集団になります」と力を込める。
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