「日本って信号がないんだろ?」
そう言われたら、あなたはどんな気持ちがするだろう。

僕なら当然、「いや、信号はあるよ」と反論する。

すると、「そんなはずはない。日本には信号はない。テレビで見たからな」と返される。
それこそ「いやいや、僕は住んでいたんだから!」と声を荒げてしまうかもしれない。

しかし、同じような経験を日本でも味わった。
(オルナタS特派員=中野貴行)

僕はシリアに住んでいたことを言うと、決まって言われる。
「シリア?あぁ、危ない国でしょ?よくあんな危険なところに住んでいたね」と。

「僕がいた頃は、日本よりよっぽど治安がよかったよ」と言っても、
「さすがに、それはないでしょ。」と信じてもらえないことさえある。

僕がシリアに住んでいたのは、2008年から2010年。
2005年にも一度、大学時代にバックパッカーとして1週間ほど周遊したこともある。
イラク戦争から少ししか経ってなくて、不安な気持ちがあったが、商店街を歩いているだけで呼び止められ、椅子に座らせれ、「どこから来たんだ?」「シリアはどうだ?」とアラビア語で質問攻めにあったことが10年経った今も鮮明に覚えている。(その場にいた小学生が、英語に通訳をしてくれた)

青年海外協力隊として、シリアに滞在している最中は、腕時計・携帯電話・カメラ・現金の入った手帳まで落としたが、全部返ってきた。腕時計は、宿に置き忘れて、バスで4時間ほどの距離をすでに移動してしまっていたのだが、「その町に行く人がいるから」と、その場にいた若者に腕時計を託し、僕の泊まっていたホテルまでスタッフでもない一般人が届けに来てくれた。もちろん、チップの請求もない。バスの移動にしても、いつの間にか僕のバス代が払われていることも珍しくない。

こういった話は、シリアに行ったことのある人にとっては「よくあることだよね」と言うほど、日常的な出来事だ。

現地の人にとっても低収入の部類に入る月収2万円ほどの生活でも、田舎に行けば3LDKの庭付きの家を持ち、子ども5人を学校に行かせ、僕のような外国人がいつ行っても、タダでご飯と布団を準備してくれるような生活があった。
事件といった事件は聞いたことがなく、毎月の治安の情報は送られてくるが、殺人事件が全国のどこかで一件、起ころうものなら「珍しい!」と驚くほどだ。

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行ってみないと分からない。

ただ、今のシリアは本当に危険だ。
なので、2015年~2016年、ヨルダン・トルコ・イラク・ギリシャ・フランス・スウェーデンに住むシリア難民や難民支援している団体から話を聞き、メディアが映して来なかった、伝えて来なかった話も見聞きした。
平和なシリアを知っている者からすれば、想像できない現実があり、人生があり、悲劇があった。

すべては伝えられないけれど、僕が見てきたものを伝えたい、と帰国後、国内で講演や写真展などを行なっている。
講演依頼については、ウェブサイトまで。

大阪では、2016年6月18日(土)に、今「世界で一番幸せの国」であるフィジーに移住し、9年を過ごしている永崎裕麻氏とクロストークを行なう。氏は、100カ国以上を旅し、唯一住みたいと思った国であるフィジーで生活をしており、今回1ヶ月の日本滞在中に講演を行なう。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)がある。

●イベント詳細
【日時】6月18日(土)18:15-20:25(交流会 〜21:30)
【場所】Blue+(大阪駅から徒歩5分。大阪府大阪市北区芝田2-9-17 マエダビル4F)
【申し込み】下記サイトより申し込み。

余談であるが、シリアで言われたのは「日本は発展しすぎて、信号も要らなくなったんだろう?(高速道路のこと?)」と言うことだったが、フィジーは国で1つしか信号が無いそうだ。

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