環境省は11月15日、「ウィルラボ」の第1回セッション「キックオフ・ミーティング」を開いた。ウィルラボとは、環境・社会課題の解決を起点にしてビジネスを創出するアウトサイドインの考えに基づいた若手起業家の発掘・支援を行うプログラム。公募した4人の起業家に対して、公募した20人のメンターらがチームを組み、来年3月までメンタリングを行う。(オルタナS編集長=池田 真隆、写真=飯田 麻美)

ワークショップではウィルプレナーとウィルメンターが質問を交わした

「アウトサイドイン」とは、国連SDGs(持続可能な開発目標)のビジネス指南書「SDGコンパス」で規定されている言葉で、日本の企業関係者の間でも注目が集まっている。ウィルラボの「ウィル」は、環境・社会課題を解決したいと志す人と、それを応援したい人の「意思」を表している。

ウィルラボでは、公募した若手起業家を「ウィルプレナー」と名付け、アドバイスするメンター陣を「ウィルメンター」と名付けた。選ばれた若手起業家を環境省公認のウィルプレナーとして、来年3月まで全面的に支援していく。

環境省がこのプロジェクトを行う背景には、ビジネスで環境課題を解決する機運をつくりたいという考えがある。貧困や過疎化などの社会課題に比べて、地球温暖化や森林の保全などの環境課題に対して、ビジネスで取り組んでいる事業者は多くない。

そこで、今回公募したウィルプレナーは、環境省が第五次環境基本計画で定めた6つの重点戦略(持続可能な生産と消費、国土の価値向上、地域資源を活用した地域づくり、健康で心豊かな暮らしの実現、持続可能性を支える技術開発、国際貢献と戦略的パートナーシップ)の領域内で起業している、もしくは起業準備中のミレニアル・Z世代(1980年以降生まれ)を対象とした。

環境課題の解決に挑むウィルプレナーを、すでに社会課題の解決につながる事業に取り組む企業経営者らで支援していく。さらに、ウィルラボの趣旨に賛同した企業も「ウィルサポーター」としてウィルプレナーを応援していく。事務局はオルタナが務める。

多種多彩な起業家揃う

11月15日に開かれたキックオフ・ミーティングでは、公募した4人のウィルプレナーが事業をプレゼンし、その後、ウィルメンターとワールドカフェ形式でディスカッションを行った。

ウィルラボでは12月13日に第2回セッション「ウィルファンディング」を開く。このセッションで、ウィルメンターはメンタリングを希望するウィルプレナーを選ぶ。その後、チームに分かれて、翌年の2月までメンタリングを行う。3月13日に報告会を開く。

ウィルプレナー:環境ビジネスに取り組む若手起業家


小嶌 不二夫(こじま・ふじお)
2011年にピリカ創業。ごみ拾いSNSや海のプラゴミの流出経路を調査する装置を開発し、環境問題の解決に取り組む。


平 希井(たいら・けい)
生ごみから堆肥をつくるコンポストの普及を目指す。生ごみを地域の中で資源として循環させる仕組みを考案中。


福寿 満希(ふくじゅ・みつき)
2013年にローランズ創業。都内に3店舗の花屋を運営。スタッフ60人の内、約7割が障がいや難病を持つ。


元山 誠也(もとやま・せいや)元山 巧大(もとやま・こうだい)
若者向けに3万円程度で購入できる着物を販売するために、兄弟で起業準備中。普段着として着物を着る文化をつくることが目標。

ウィルメンター:ウィルプレナーのビジネスプランの進みや課題を見極め、成長を支援
荒木 恵理子(ベネッセグループホールディングス 総務部環境推進課)
石井 規雄(中小企業診断士)
牛山 大(ハリウッド化粧品社長)
大須賀 一仁(ワイルドプラン大須賀企画事務所代表)
北島 隆次(TMI総合法律事務所 弁護士)
小暮 剛(西武信用金庫 法人推進部)
小林 ゆか(ユヌスよしもとソーシャルアクション社長)
最勝寺 真弥(アミューズ グループ経営企画部部長)
迫田 時秀(BRITA Japan マーケティング部マネージャー)
鈴木 雅剛(ボーダレス・ジャパン副社長)
高田 直美(直支援事務所代表)
二宮 治己(SCSK CSR推進部課長代理)
林 啓史(林中小企業診断士事務所代表)
町井 則雄(シンカ社長)
松菱 則嗣(開発化学工業代表)
山口 真奈美(日本サステナブル・ラベル協会代表理事)
吉高 まり(世銀グループ国際金融公社環境技術部)
四角 大輔(執筆家)
和田 遥平(タクト社長)

■ウィルマネージャー:ウィルプレナーの困りごとを聞き、ウィルメンターやウィルサポーターへ伝える。メンタリングの日程調整等も行う
岡田 慶子(ヒキダシ共同創業者)
野村 尚克(Causebrand Lab.代表)

ウィルラボの公式サイトはこちら


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