――母子で暮らせるシングルマザーハウスというのは他にもありますが、シングルマザーの自立支援まで手掛けるのは珍しいですよね。

大津:シングルマザーが自立するまでをサポートできるシェアハウスは、世界初だと思います。敷金・礼金はゼロ。最初の二か月は家賃もかかりません。三か月目からは、家賃3万円と生活支援金2万6500円がかかります。

家賃の中には、家具、家電、水道光熱費、インターネット、洗濯機使用料、洗剤やトイレットペーパーなど共用部消耗品代も入っています。生活支援金の中に、掃除・洗濯の家事代行、チャイルドケア、食事代も含まれています。

二年目からは、家賃は5万5千円、生活支援金は3万円に上がりますが、自立するまでのステップとしてうちを使って欲しいというメッセージを込めた値段設定です。自立には、優しさと厳しさが必要だと思っています。

――シェアハウス全体を見学させてもらいましたが、個室も綺麗でロフトもあって、お風呂にはミストまでついていました。夢アワード4で優勝された吉藤オリィさんのロボットOrihimeもいました。これだけついてその値段は安過ぎですね。

大津:利益を出すよりも、シングルマザーの支援を第一に考えています。ドメスティックバイオレンスなど辛い結婚生活を送っているけれど、離婚に踏み出せないようなプレシングルマザーにとっても、ここをステップにして自立していけると思ってもらえる場所にしたいと思っています。

シングルマザーハウスにある食器はすべて、ご支援くださる方からの寄付でいただいたものです。入居者の方は、多くの方の支えの中で自立を目指すことができます。なのでシングルマザーハウスを卒業したら、今度は支援者の立場になってシングルマザーハウスを応援してもらえる良い循環ができればいいなと考えています。

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――素晴らしい仕組みですね。

大津:本当は、こんなシングルマザーハウスを、いつか誰かがやってくれるんじゃないかなと思っていました。誰かがやってくれたら、そこに支援という形で便乗したいなと思っていました。でも誰もやらなかったので、私がやろうと思いました。

私って、本当は怖がりなんです。大きな声で話すのは、怖がりの裏返しなのかなと思います。そんな私が、夢のスタート地点に立たせていただきました。正直、シングルマザーハウスは叩かれることが多いのです。特に男性の方から「ダメな女を作る家か」と言われたりもします。でも、美樹代表始め、ご支援者もたくさんいます。だから私は、何があっても旗を振り続けていきたいなと思っています。

――大津さんをそこまで強くしているものって何なのでしょう?

大津:一人でも多くの子どもの笑顔を作りたい。経営者失格なのですが、昔から、売り上げよりも、「スマイルをゲットできたか」にこだわって事業をやっているんです。アクションパワーのメンバーにも「笑顔が届けられなくなったら、この会社がある意味ないから」と言っています。

子どもの笑顔につながっていると感じられた時が、一番充足感を感じます。子どもが笑顔になるためには、まずはお母さんが笑顔でいること。お母さんが笑顔でいるためには、経済的に安定して、安心して暮らせることが必要です。

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