被災地へ行った若者の生の声を聞くシリーズ企画
ミツメル~ぼくらの空はつながっている~

からの続き

震災から学び、見つめつづける
被災地へ行って印象に残ったことはなんですか。

三井 俺がうれしかったことは、当初はまったく受け入れてくれなかった広田の方がお酒の席を設けてくれたときかな。「いつもは地元の人と愚痴ばかりしか話さないんだけどお前らがいるとくだらない話もできて一瞬でも被災したことを忘れられる。今日は久しぶりに上手い酒が飲めたよ。またいつでも来いよ」って家族のように自分を受け入れてくれたことかな。そのとき俺は被災地に行ってよかったと思った。確かに悲惨なんだけどそれだけではなくて、笑顔もちゃんとあるんだよね。でも、もちろん悲しみを忘れていいということではないんだ。

鈴木 俺は、ある漁港にニーズ調査をしに行ったとき。一人の漁師さんが、「結局、お前らはおれらの本当の悲しみは分からないだろ。でも、お前らは大学生なんだったらこれから東京帰って今回の震災や俺らの姿を見て、自分の人生をしっかり生きろ」って言ってくれたんだ。なんかすごく府に落ちたな。とても勇気をもらえた。

三井 俺も広田の防災本部の人に「お前ら東京の若者連れて来い、ボランティアで来なくてもいいから、一人でも多くの人にこの現状を知って欲しいんだ。この現状を見てそこから学べ」って言われた。

赤坂 俺は安否確認のところで動いていたから、子供の安否確認が取れた親や、その親子の再会現場に立ち会えたことかな。でも、その逆も多く見てきたけど。ただ、さっき2人が言ったようにこの震災から勉強するということはとても大切だと思う。でも、俺は現地に見に行ってもいいし、見に行かなくてもいいと思う。忘れなければいいと思う。

三井 この震災は復興まで50年はかかると言われている。そうすると俺らが70歳になるまでこの震災の影響は少なからず、間接的にでも受けるんだ。だからこそ目を背けずにずっと見つめるべきだと思う。今までの生活を見つめなおしてこの震災を機に日本を根本から変えていく時だと思う。

鈴木 俺は個人的に現地でこれから一生懸命何かをするというよりも、東京でこれからの人生腹据えて生きていくのが使命だと思ってる。現地に行ってきて、今までの日常で当たり前だと思っていたことが改めてすごく大切なんだと思った。

今出来ることから出来続けることへ
今、特に同世代へ向けて伝えたいことはなんですか。

赤坂 忘れないということかな。彼らは今止まっている状態。俺たちは前に進めるけど彼らを置き去りにするのではなくいつも気にかけているべきなんだと思う。忘れないということは誰にでもできることだし、俺はそのために情報局をつくろうとしている。

鈴木 俺は、君はどう生きるのかってことを伝えたい。いかにして今自分がしていることに魂を込められるのかを考えてもらい。現地に意志をもって行かないということはいいと思うし、なにをするにしてもちゃんと意志をもっているのかということを常に問い続けて欲しい。

三井 俺は、今私たちに出来ることから、出来続けることにシフトしていくことが大事だと思う。日常の生活に戻ることはとてもいいと思うんだけど、それだけじゃいけないと思う。普段の生活をしてかつ何かをするべきだと思う。あと知り合いの方からメールをもらったんだ。「この震災を復興するまで最低20年はかかると思います。それをなしとげられるのはあなたがた若者世代です。復興するまでにまた新たな震災が起きる可能性もあります。そのときに今回の緊急支援をした経験が役立たちます。今、現地に全国の大学から建築系の学生を送っている教授たちがいます。その教授たちは阪神淡路大震災のときに学生ボランティアをしていたかたたちです」だから、俺たちが動くことで、未来でまた新たな何かが起こったときも対応できるようになっていたいよね。

鈴木 何かあったとき、手を上げられる人になっていたい。

赤坂 この震災を機に多くの人に何かしらの種はまかれたはずだよね。そのそれぞれの種がいつか花を咲かせるんだと思う。

三井 うん、みんなに根づいた種がやがて世界に一つだけの花を咲かす、そんな世界になったらうれしいよね。




オルタナS編集員 池田真隆