タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう

なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)

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六次産業

「Solar Shading?」リズが訪ねた。
「遮光するんですか?」
「遮光した方がいい作物ってあるだろう?」
「キノコなんか?」と啓介。
「当たり」と末広。
「太陽光をめいっぱい欲しがる作物はサトウキビやトウモロコシだ。その次には米とか麦とか
っていう穀物だろうな。日本は穀物がだぶついてるって話はしたよな」
「だけどアメリカはもっと買えと言う」と啓介。

「だからこれからは太る穀物ではなく、美容と健康よ。そんな作物は太陽が嫌いな奴が多いんだ」
「朝鮮人参とかキノコとかハーブなんてのがそうですね」と敏夫。
「そうだ。ただし、薬とか健康食品は加工を必要とするよな。サプリメントや薬は作物を凝縮したり、エキスを抽出するものなんだ。そこに次の産業が生まれる。作物作りは一次産業だ。それを美容とか健康用のものに加工するのが、二次産業だ。そしてその製品を販売するのが三次産業だよな」と言いながら末広が皆を見渡した。

「その一次、二次、三次を足すと六になるよな? だからそれを六次産業と呼ぶのよ」
「1x2x3でもsix」とリズが啓介に英語で言った。「その中でもマーケティングがとても重要。努力が3倍いる」それを聞いて啓介は末広に「じゃー俺、とにかく東京に行って身辺整理をしながら、マーケティングの基礎を作りますよ」と啓介が言うと末広は「ジャーでも炊飯器でもいい、とにかくそうしてくれ」と啓介の方を叩いた。その時啓介の携帯が鳴った。平井からの電話だった。「どやねん?」かすれた声に元気がない。
「東京はどやねんですか?」啓介は質問を質問で返した。「いつもなら、そっちが先にこたえんかい」と言う平井は今回は様子が違った。不安そうに色々状況を話し出したのだ。

啓介は携帯を指差し、それから東の方角を皆に指差し、東京からの電話だという事をジェスチャーで伝えると、席を立ってベランダに出た。平井はアメリカ人が殆ど本国に帰ってしまったことや、事故報告がひっきりなしで途方に暮れている事、由美子が出社していないこと。

自分はローン抱えていて不安な事などをくどくどと話し出した。啓介は会話を終わらせたいので、「今から東京に向かいますけど、山梨バルブの件どうしますか」と平井の話を制して話題を変えると「そんなもんどちらでもかまへん」。啓介は「かまへんですね」と念を押しながら、ベランダから皆のいる部屋に戻りながら平井の電話を切った。「敏ちゃん韮崎まで送ってよ。会社は大丈夫じゃないけど、中央線は大丈夫みたいだから」。

文・吉田愛一郎:私は69歳の現役の学生です。この小説は私が人生をやり直すとすればこうしただろうと言う生き方を書いたものです。半世紀若い読者の皆様がこんな生き方に興味を持たれるのであれば、オルタナSの編集スタッフにご連絡ください 皆様のご相談相手になれれば幸せです。

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