途上国版ドラゴン桜――。NPO法人e-Education(イーエドュケーション、東京・千代田)は独自に制作したDVD教材を途上国の貧しい高校生たちに無料で提供していることから、そう呼ばれている。これまでに2000以上のDVD教材を制作し、14カ国1万5000人以上に映像教育を届けてきた。バングラデシュのダッカ大学を始め、難関大学に150人以上の合格者を輩出した。活動を開始して8年、寄付に頼らない事業モデルを確立しつつあり、第2成長期へ入ろうとしている。(オルタナS編集長=池田 真隆)

映像教育で教育格差の是正を目指す。左端は三輪代表

「バングラデシュの村で出会った高校生たちは家に灯りがないから、街灯の下で勉強していた。彼らには大学に行きたいという夢があった。その夢を応援するために活動を始めた」。同団体の三輪開人・代表理事(30)はそう話す。

活動内容はシンプルだ。名物教師の講義を撮影し、DVDに焼いて、途上国の農村部に住む高校生や中学生へ無料で配布する。都市部と農村部では経済格差に加えて、教師の数が少なく学習機会の格差も起きている。この状況を映像教育で是正しようとしているのだ。

日本で映像教育を定着させた草分けは大手予備校の東進ハイスクールだ。実は三輪代表は早稲田大学に在籍していた4年間、同校でアルバイトした経験を有し、専任講師である林修氏のもとで働いていた経験も有する。この経験から、バングラデシュの大学近辺で林修氏的な人気講師は誰かと聞いて周った。

人気講師を探し出して、直談判すると、活動内容に共感してくれた。当初用意していた謝礼は受け取らずに、無料で引き受けてくれたという。これが、1本目のDVD教材となった。

名物教師の講義を録画

2010年にアジア最貧国であるバングラデシュから活動を始め、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなど14カ国で展開してきた。制作したDVDは2000種類を超える。

子どもたちへは無償で提供しているが、この公益性のある活動が結果として収益を生み出した。各地の学校や行政と連携して、DVDを届けているため、その地域からの信頼は厚く、「開発支援」につながった。

2014年から途上国へ進出したい企業から市場調査などを引き受けるようになり、2016年度の事業収入約4000万円の内の4分の3が開発支援の売上だ。この事業で売上を立て、DVD教材の配布で社会的インパクトを出している。

団体を立ち上げた当初から展開しているバングラデシュでは、寄付金に頼らない「成功モデル」を確立しつつある。現地パートナー企業のBacBon社と連携して、DVD教材を配布しているが、これまではe-Educationが毎年数百万円ほどの金銭的な支援を行っていた。

しかし、現在は現地でウェブ教材を広めたいクライアントの市場調査などを同団体経由で受けており、企業としての体力も付いてきた。BacBon社では20人のフルタイム職員を雇用するまでになった。来年度から再来年度には支援の必要はなくなりそうだという。

現在はバングラデシュのほかに、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ラオス、ネパールの5カ国で展開しており、この成功モデルを広げていく。

DVD教材を見ながら勉強する高校生

同団体の薄井大地・事務局長(28)は、「進出している国のすみずみまで最高の授業を届けたい」と意気込む。

活動を始め8年間で1万5000人以上に映像教育を届けてきたが、その功労者は学生インターンである。バングラデシュを除く、5カ国では学生インターンがプロジェクトマネージャーとして活動している。

学生は1年間、DVD教材を届けるために目標を定め取り組む。現地には、e-Educationの駐在社員はいない。渡航する前に半年間、同団体の日本事務所で研修を受けるが、渡航後は個人の力で開拓していくことが求められる。

ただし、進捗確認のため、毎週1回、日本事務所で働く職員とスカイプで連絡を取り合う。目標への達成度を振り返り、綿密に課題への対策を考えていく。

渡航費と現地での滞在費は学生の個人負担だが、これまでの8年間で志願するインターン生が途切れたことはない。

高木一樹さん(東洋大学国際地域学部4年)はラオスで算数のDVD教材を現地の先生や僧侶らと制作した。

掛け算を歌いながら覚える映像で、先生向けの教材として配布した。掛け算を歌で覚える取り組みは同国史上初として話題を集めた。この映像を2週間ほど見て学習した小学1年生の9割が算数のテストで満点を取った。現職の小学校教員800人以上がこの映像を見ている。

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