日本三景の一つに数えられている宮城県の松島湾に浮かぶ浦戸諸島で、一人のパン職人が島おこしに奔走している。先天性の聴覚障がいがある羽生裕二さんだ。東日本大震災から6年が経つが、離島であるがゆえの復興格差を目にしたことがきっかけで動き出した。羽生さんにプロジェクトについて寄稿してもらった。(寄稿・羽生 裕二=浦戸の花物語プロジェクト発起人)

仙台のパン屋で製パンの技能を学んだ羽生さん(右)

浦戸諸島は、桂島、野々島、寒風沢島、朴島の島々で形成された地域だ。プロジェクトを立ち上げるきっかけとなったのは、本土と離島で異なる東日本大震災の復興格差を目の当たりにしたことだった。

六年が経っても地盤沈下の嵩上げ(かさあげ)工事が進んでいなく、一部の島民の方々は仮設住宅の生活に見舞われている。過疎化の問題も深刻な浦戸諸島の復興を目指し、休耕地を有効活用する「浦戸の花物語」を立ち上げた。

浦戸諸島は離島であるがゆえに復興が進んでおらず、約40世帯、80名以上が仮設住宅で暮らしている

私は生まれつき耳が聴こえない。だが、生まれ育った境遇と身体の障がいは人生を制限する理由にはならないと証明するため、障がい者、高齢者、LGBT、被災者、一人親家庭、在日外国人など、社会的に弱者と言われる方々の雇用創出を目指して活動している。

その活動の一環で浦戸諸島に出会い、東日本大震災の津波被害からの復興が未だに進んでいない現実に衝撃を受けたのが始まりだった。

浦戸の花物語は、浦戸諸島の地域資源であるお花を活用した無添加のお菓子を開発し、島の知名度を向上させるとともに六次化の製造ラインで社会的弱者の雇用創出も同時に目指す取り組み。

お花で自家製酵母を起こして、膨張剤の代わりに使用した完全無添加のお菓子を開発するというパン職人ならではの島おこしプロジェクトだ。

プロジェクトを立ち上げたときは、耳が聴こえない一人のパン職人の妄想に過ぎなかったが、地道に活動を継続してきて、宮城県塩竈(しおがま)市を飛び越えて全国から多くの支援を受けるまでになった。

しかし、プロジェクトを加速させるにはまだまだ多くの支援が必要で、クラウドファンディング「Readyfor」での資金集めに挑戦している。このプロジェクトを応援したいと思ったなら、クラウドファンディングのページを是非見て頂きたい。

・羽生さんのプロジェクトはこちら


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