タイトル:電園復耕~大通りからそれて楽しく我が道を歩こう
なぜ人を押しのけて狭き門に殺到するのか?自分を愛し迎えてくれる人たちとの人生になぜ背いて生きるのか?
この書き下ろしは、リクルートスーツの諸君に自分の人生を自分で歩み出してもらうために書いた若者のためのお伽話である。(作・吉田愛一郎)
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◆武道の指導
「ぱくられるなら昨日の乱闘の方が先でしょう」
「そやな~、現金取引は証拠がないが、お前の眼の紫色のスタンプは何よりの証拠や」
「ジェントルメン」ピーターが言った。
「ハランベー、レッツゴー」
車が埃の道をしばらく走ると車は道をそれて赤土の空き地に入った。子供たちが走り回っていた。ほとんどが裸足だ。土埃を上げて車が入って行くと、汚れた白の板で緑色の校舎から先生らしき若くて太った女性が出てきて車を迎えた。セーターの下の二つのスイカのような乳と大きくて長いスカートを引きずり、サンダル履きだ。
「ジャンボ」「ジャンボ。ハバリ」「ファイン」。先生はピーターと二三の言葉を交わすと末広の方眼を指差して「格闘技の練習は危ないくないのですか」とか言っていたように末広には感じた。やがて先生はピーターの説明に納得したのか、女の子だけを集めて校舎に入って行った。
ピーターは「レッスンヒヤー」と言って車に入って運転席の背もたれを倒して寝てしまった。小室が男の子たちを手招きすると、目を丸くした少年たちが恐々二人の周りに集まってきた。小室が空手の型を演技しだすと、男の子たちは歓声を上げた。そしてみるみるうちに真似をし出した。
最後に小室が末広の痣になって膨れている片目を突く真似をすると、子どもたちは狂喜した。今度は末広が稽古をつける番だ。小室が一人の少年を掴んでゆっくりと大外狩りをかけて倒すと、皆が大笑いした。
皆が笑っている間にその子が立ち上がり、末広に掴みかかった。小室がその場によろめきながら倒れると少年たちは全員で二人に飛びかかった。いつの間にか先生と女の子もそれを取り巻いて大笑いをしている。そして先生が何かを言うと皆で歌を歌い始めた。そして男の子たちも立ち上がり、歌とダンスが始まった。
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