東京足立区千住に拠点を構えるインターネット放送局Cwave。運営しているのは人材教育会社のCANだ。人材教育会社がインターネット放送局を使い、地域の活性化に向けてどのような取り組みをしているのか。(武蔵大学松本ゼミ支局=池亀 航平・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)

CANオフィスで取材を行った

CANは教育、医療、介護を主軸とした地方での人材育成を中心に活動してきたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、被災地の対する炊き出しやマッサージ、心のケアといった一連の支援活動をきっかけに、日本の地域ネットワークへの関心を高め、そのポテンシャルの高さから千住の町に目をつけ活性化を目指したイベントや事業を企画運営するようになった。

2013年に開始されたCwaveは月間80番組以上を放送しており、それらをパソコンやスマートフォンで視聴することができる。放送する内容は自由度がとても高く、番組は公開生放送で収録しているためスタジオ観覧もできる。

CANの代表取締役社長の植村昭雄さんは、Cwaveを「サードプレイス」として位置付けており、家でも職場でもない第三の場所として人とつながることのできる場所であるとしている。

実際に、CANが持つ番組は2つしかなく、発信したい人が誰でも自分の番組を持つことのできる仕組みとなっている。

今回インタビューに応じてくださったCAN代表取締役社長の植村昭雄さん

CANが運営するもう一つのメディアとして、みんなの経済新聞ネットワークに所属している「足立経済新聞」がある。2014年に創刊された足立経済新聞は、主婦や大学生を記者として起用し、地域情報の収集や問題解決を主な目的として活動している。

これらのほかにも、「Japan Cross Radio」というインターネットラジオを2018年から始めているが、植村さんはこれらのメディア事業はあくまで「ツール」であると考えており、人が集まる場を提供することのできる「つながり」を大事にしているのだという。

インターネットの登場は、メディアに無限大の可能性を与えると同時に、情報伝達の手段を多様化させた。この激動の時代において、いかなる方法が時代に即しているのかをインターネット放送局Cwaveは模索し続ける。

メディア事業を主軸としながらも、メディアにこだわりすぎることなく、人と人との「つながり」を意識する姿勢は、人間関係が希薄になりがちな現代社会において「人としての豊かさ」を提供してくれるのではないだろうか。