社会課題をビジネスで解決していくためには、どう解決していくかも大事だが、そもそも社会課題とその原因を特定することが重要だ。課題設定はビジネスの根に値するので、ここを間違ってしまうと本質的な解決からズレてしまう。空き家の強みを生かした多拠点ライフプラットフォーム「ADDress(アドレス)」を運営する佐別当隆志さんに、社会課題と原因の見極め方を聞いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

アドレスを立ち上げた佐別当さん

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” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]アドレスは、月4万円で全国「住み放題」を可能にしたサービスだ。地域の空き家などを「シェアハウス」にリノベーションした物件を全国に持っており、会員はその日に合わせて自由に住む場所を選ぶことができる。どこに、どれだけ泊まっても、光熱費や家具、wifi使用料込みで月額4万円だ。

昨年4月にリリースして、現時点では15都道府県に31の物件を構える。会員数は「数百人」で、都内のビジネスパーソンが中心だ。なかには、移動しながら暮らす「アドレスホッパー」のような生き方を求めた60代の夫婦もいるという。

特定の場所に縛られずに働きたい・生きたいという個人のニーズと、空き家を有効活用をしたい地域のニーズが見事にマッチしたビジネスモデルだ。

千葉県茂原市にあるアドレスの拠点の一つ、サーフィンを愛する子育て中の家守が茂原市の魅力をつたえる

1月31日には、社会変革推進財団(東京・港)、リノべる(東京・渋谷)、アイティーファーム(東京・新宿)を引受先とする増資、日本政策金融公庫からの融資による資金調達を実施するなど急成長を遂げる社会派ベンチャーとして注目されている。

このサービスを開発した佐別当隆志さんは、社会課題を設定するためには、課題によって起きる「事象」を考察して、そのなかに「チャンス」を見つけることが必要だと指摘する。例えば、空き家が増えている事象を読み解くと、「過疎」「人口減少」などがあるが、一方で、「家賃が安い」「競合が少ない」それゆえに「有効活用しやすい」という利点もある。

「人口減少しているなかで、これまでの延長線上で考えてはいけない。人がいないと回らないビジネスモデルから脱却して、一地域だけで地域の課題を解決するという前提も捨てた」

同社では宮崎県日南市と連携しているが、同市は商店街を活性化するにあたって、商店街のお店を増やす施策は取っていない。行ったのは、企業誘致だ。「商店街の空きスペースをリノベーションして企業誘致の場所に使った。増やしたのは商店街で働く企業。日南市の関係人口も増やした」(佐別当さん)。商店街に保育園も建設された。

■インフラも移動前提に

全国に広がるアドレスの拠点

オルタナS編集部が実施したZ世代・ミレニアル世代の読者300人のアンケート(2017年)では、働き方で大切にしたい価値観として、最多だったのが「人とのつながり」(64%)で、その次が「時間や場所に縛られずに働きたい」(60%)だった。「一生同じ会社で働きたい」と回答したのはわずか4%に過ぎなかった。この調査結果から、社会派な若者たちは多様な人とつながりながら自由な働き方を求めていることが分かる。

オルタナS編集部で実施したミレニアル・Z世代へのアンケートでは場所や時間にとらわれずに働くことを求めている若者が多いことが分かった

まさにこの要望に応えたのがアドレスなのだが、佐別当さんは今後の社会について、「移動する個人の数が一定の比率になれば生活インフラも移動前提に変わってくる」と予測する。すでにその波は様々な分野で起きつつある。

都市と地方の学校を行き来する「デュアルスクール」や昨年4月の入学式で4000人が入学して話題になったN高等学校などの通信制高校、校舎だけでなく町全体を学びの場ととらえるプロジェクトベースドラーニング――教育の形も、定住前提から移動前提に変わりつつある。

医療分野にもその波は来ている。提携する法人には、訪問診療を行う医療法人があるが、研修を終えた医師が1~2カ月単位で滞在する地域を変えながら訪問診療を行っている。

従来は、ライターやプログラマーが場所に縛られずに働ける職業の例として挙がっていたが、これからは「医師や看護師、保育士、先生も移動しながら働く社会がくると思う」と先を読む。

ADDressはこちら




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