社会課題に関する調査・分析事業などを行うシンカ(東京・大田)はこのほど、子育て中の母親約2000人にコロナ禍で困っていることを調査した。同社の子育てサポートチームが調査結果を分析した。(オルタナS編集部)

アンケートはLINEを活用したWebアンケート形式で実施し、全国の未成年の子どもを持つママ2,210人(既婚/事実婚:1793人、シングル/未婚含む:417人)から回答を得た。

現在の状況で困っていることとしては以下のグラフのように、金銭面の他、自宅待機による弊害として起こる問題が大半であった。

コロナウイルスが流行ってる今、1番困っていることはなんですか?結果

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家庭環境別に見ると、金銭面について既婚家庭では、37.0%が困っていると回答しているのに対し、シングル家庭では62.3%と4割近く比率がアップしており、平均を大幅に超えていた。このことから、シングル家庭がより金銭面で厳しい環境に置かれているということが明らかとなった。

一方で、子どもにイライラしてしまうという回答は、既婚家庭が21.2%で平均を上回るのに対し、シングル家庭では13.6%と平均を下回った。同様に、怒る回数が増えたという回答についても同様の傾向が見られ、既婚家庭が33.5%なのに対し、シングル家庭は23.2%と10%ほど低い回答となった。

国や自治体に向けて伝えたいママからのSOSという質問に対する回答では、「1人10万円支給はとてもありがたいけど1回だけもらってもその先の不安は消えない。こどもの預け先もなく、仕事も自粛で休みなのですでに2か月以上収入がない。税金も滞納。ローンも払えない」というような意見をはじめ、10万円の助成金では一時的に経済的不安を取り除いたに過ぎないという意見や、本当に困窮している家庭に給付すべきという声が上がっている。

その他、意見として明記されることはほとんど無かったが、金銭面での不安以外はほぼ自宅待機によって発生する課題であった。それらを見てみると、他国ではすでに事象として顕現化している報道もあるが、現在の状況が続くと既婚・シングルを問わず家庭内ストレスがDV、児童虐待という最悪の状況を生んでしまう可能性を感じる内容となっている。

社会全体の雰囲気やそれらから生まれる同調圧力などにより、自粛という言葉に過度に反応してしまうことによるリスクが、子育て家庭にとっても大きな負荷をかけていることを注視していく必要がある。

また、コロナが終わった後で不安に思っていることの自由回答として1265件の回答が得られたが、

〇子供の学力・体力面の低下
・授業など勉強の遅れはどうなるのか。
・授業がなかった分、学力は身に付くのだろうか??
・授業(勉強)が1年間でやり切れるのか?
〇コロナが収束するのか
・本当に終わったのか‥
・本当に終わったか不安なる
・本当に終わったか気になる。
〇金銭、経済面
・収入など仕事面〔コロナの影響をかなり受けている為〕
・収入が戻るのか
・収入が減ってる状況での、金銭的な生活面の確保
(一部抜粋)

以上三点についての意見が顕著で、特に勉強面の心配は大きな割合を占めた。また、「我が家は幼稚園児が2人です。休園延長などは早めに決断して伝えて欲しいです。批判もあるでしょうが、少しでも延長になる可能性が早くに分かればそれなりに対処の仕方が変わります」(抜粋)――のように問題への対処、連絡の早期化を求める声が少なくなかった。

コロナ収束後の不安は、国の指針として今回の授業の遅れをどう取り戻すかが不透明であることや自治体によってオンライン授業を含めた対応にかなりばらつきがあることなどが相まって、親の不安を増幅させていることが原因の一つであることは間違いないと推測される。

子どもの休校中の時間の使い方が以下のグラフのようになっていることも不安を助長している可能性もある。

休校中はテレビやゲーム、スマフォを見て過ごす子どもが大半だった

これらの結果から、今回のコロナ禍によって避けることのできない子どもの学力低下に対する国としての対応方針を議論の段階ではなく「決定」し、各自治体に「実行」の段階へと即座に落とし込むことが家庭の不安を取り除く上で重要であることが浮き彫りとなった。

シンカの子育てサポートチームは、「子育て家庭におけるコロナ対策支援策については、一律な支援策と共に、子どもの年代別、環境別によっても課題の深刻度合いが異なる。全てに手厚いサポートができないとしても、国や行政、そしてサポートを検討する全ての団体がこれらの家庭の生の声に耳を傾け、最善と思われる施策を検討、実施してくれることを切に望みたい」と述べた。

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