アジアの子どもたちの医療支援を行う、フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN(フレンズ)代表を務めながらラオスの「ラオ・フレンズ小児病院(LFHC)」で看護師をしている赤尾和美さん。LFHCでは、ラオスで唯一、多業種スタッフがチームとなった障がいがある子どもたちのためのクリニックを開設した。フレンズの職員として日本国内で活動を支える、永野さんに話を聞いた。(聞き手・Readyfor支局=吉田 梨乃)

活動を日本で支える永野さん。フレンズのオフィスで

――LFHCに開設した多業種スタッフがチームとなった障がいがある子どもたちのためのクリニックの運営費としてクラウドファンディングに挑戦しています。ラオスでは障がいに対してどのように認識されているのでしょうか。

まず障がいというものの認知がされておらず、障がいがあっても放置されてしまってるんですよね。逆に日本みたいに「障がいがある」ではなく、「何かができない〇〇ちゃん」とされるだけで特別扱いはされないのですが、障がいというものが何なのかという、認識を改善しないとその子の可能性を狭めてしまうことになるんです。

例えばある患者さんは、両親が畑仕事に行っている間は、家で寝たきりでいる。そのために身体はカチカチに固まってしまう。障がいに対する早期的な介入があれば、リハビリや姿勢を保つための装具を使うことが可能で、カチカチの棒のような身体になることを防ぐことができたかもしれない。

ラオスは村社会で助け合いながら生活しているので、その良さを活かし、障がいがある子どもたちに対してどのような専門的なケアが必要とされ、提供されるべきなのか、村長さんや有権者の人たちと一緒に考えていきたいと思っています。

黄色い服を着ているのが永野さん。母子へ保健を教えていました

――国際協力に関心を持ったきっかけは何でしょうか。

最初は関心があったわけではないのです。大学2年生の時、テレビで平和構築のためにパレスチナとイスラエルの子ども同士を交流させる番組を見ていたら、両国の子どもたちが祖国へ帰る時に「僕たちはいま友達だけれど、大人になったら君は僕の敵に、僕は君の敵となるだろう」と言ったんですよね。小学生のような子どもが、です。

当時の私には衝撃的でした。そこで初めて、日本で生きる自分の境遇との壮絶な違いに「はっ」とし、気が付けばそれから国際協力に関連するものにはどんどん飛びついていました。

たまたま観たテレビ番組が、私の人生を変えてくれたんです。大学4年生の時に、バングラデシュで活動していたNGOの方から、現地に行ってみないかと声をかけて頂き、大学卒業後の2005年から 10ヶ月間、バングラデシュに行くことになりました。

10カ月のインターンを終えて帰国。バングラデシュに魅了され、もっと草の根で関わりたい!と思い、2007年~2009年まで青年海外協力隊としてバングラデシュで母子保健のプロジェクトと連携した案件の村落開発普及員として医療保健に携わっていました。

私は医療者ではなかったのですが、現地では日本で立ち入ることの出来ない出産の瞬間に多く立ちあったり、また、逆に簡単に人が亡くなったりした光景も目の当たりにしました。その時「医療者でなくてもできることがあるのではないか」と感じたことが、今のフレンズの活動にも繋がっています。

――団体としての今後の展望を教えてください。
 
LFHCを政府の病院へ最善の形で移譲することです。フレンズのプロジェクトは、「医療・教育・予防」の3つを柱に、将来的にその国の人たちが自分たちの手で質の高い、心のこもった医療が提供できるようになること、「現地化」を常に目指しています。

2024年にルアンパバーン県立病院の小児科として政府へきちんとバトンタッチできるようにLFHCのこれからを担うリーダー育成や専門性のある教育の提供等、人材育成には特に力を入れています。

フレンズの最初のプロジェクトとして1999年にカンボジアのシェムリアップに設立したアンコール小児病院(AHC)も、開院から14年目の2013年に現地化が実現し、今では1日に400人を超える患者さんが来院しています。

カンボジア保健省から認定され、国内全域から医療従事者が集まる教育病院としても高い評価を得ています。LFHCもAHCのように現地の人から信頼され、教育病院としても成長できる病院になって欲しいと願っています。

カンボジアのアンコール小児病院は、1日400人を超える患者さんが来院し、大学病院のような存在に成長しています

※フレンズは、クラウドファンディングサービス・Readyforによる国際協力応援プログラム「Readyfor VOYAGE」でクラウドファンディングに挑戦中です!ラオスの障がいがある子どもたちに専門的なケアを提供するクリニックの活動継続のため350万円の寄付の呼びかけを行っています。寄付の受付は6月30日23:00まで!<詳しくはこちら


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