「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに国内外で清掃活動を行う認定NPO法人グリーンバード(東京・渋谷)。2002年から活動を開始し、国内外で約90チームを持つ規模までに成長した。昨年度、清掃活動に参加した人数は年間で約3万人に及ぶ。7月に大手広告代理店を辞めて3代目代表に就任した福田圭祐さん(29)は、「ゴミ拾いは人と人、地域や企業をつなげるツール。このツールを最大限に活かして、来年度の年間参加者数は30万人を目指したい」と強気な目標を掲げる。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

代表の福田さんも積極的にゴミ拾い活動に参加する

――来年度の目標として年間の参加者数30万人を掲げています。どのようにして達成していきますか。

福田:昨年度の10倍集めないといけませんが、様々な団体との連携を強化していけば達成できると考えています。例えば、最近は地方のお祭りや商店街などの催事に参加する機会が増えました。これまでは、エコステーションの運営やブース出展が中心でしたが、いまでは、イベントの実行委員会に入ることもあり、運営から携わらせていただいております。

グリーンバードがつくるコミュニティが、地域コミュニティを担うまでになってきたと自負しています。ゴミ拾い活動は、街をきれいにするだけでなく、同じ場所に集まることで、生存確認につながったり、会話するきっかけになったりしているのです。

また、地域課題の解決に、ゴミ拾いを役立てるケースもあります。人口減少や高齢化によりコミュニティが希薄する中、「関係人口」をつくって盛り上げるために若者に人気ゲーム「ポケモンGO」とコラボした企画や、夏休みに子供向けの自由研究のイベントを実施しました。

来年度に予定している大きなイベントとしては、ゴミゼロの日とされている5月30日に20万人を動員させて、ギネス記録を取ることです。いま国内外で90チームがありますが、それぞれのチームのリーダーは、発信力・影響力のあるいわゆるインフルエンサーです。合コンの「幹事」をイメージしてもらえたら分かりやすいと思います。

ただし、インフルエンサーに頼りっぱなしになるのではなく、大学や高校、企業、自治体と組んで数を集めることは必須です。例えば、各地で集めたゴミを使って「ゴミアート」をつくるなど、世の中へインパクトある発信をしていきたいですね。30万人という数字に特別な意味はないですが、それだけの人が一斉に動いたという事実をつくれれば、何かが変わる予感がしています。

――ポケモンGOとコラボするなど、時代の流行に合わせながら活動を実施していますが、8月にはタピオカ専用のゴミ箱もつくりました。

福田:グリーンバードが生まれた原宿ではタピオカ店が20店舗以上あり、街のいたるところに飲み残しの容器やストローが捨てられています。原宿で行うゴミ拾い活動でも、タピオカゴミを拾う機会が急激に増えています。

原宿から表参道には13個ゴミ箱がありますが、ゴミ箱の周辺にゴミが無造作に捨てられている光景をよく目にします。実はこうした状況をつくりだしている背景に、タピオカゴミがあるのです。タピオカの容器がゴミ箱の投入口を覆ってしまい、その結果、ゴミ箱の周囲に捨てて行く人が一人、二人と出てしまい、気付くとゴミがゴミを呼ぶようになっているのです。店頭にゴミ箱を設置している店舗が最近ようやく増えてきましたが、ほとんどの人が飲み歩きするため、わざわざ捨てるために戻ってくる人は少ないんです。

そこで、人気の黒糖タピオカ専門店「謝謝珍珠(シェイシェイパール)」とタッグを組み、インスタ映えする「タピオカ専用ゴミ箱」を開発しました。どのブランドのタピオカ容器でも捨てることが可能で、バケツやザルに飲み残しを分別して捨ててから、容器を専用BOXに投入できます。回収したタピオカ容器1つにつき1円が、グリーンバードの活動に寄付される仕組みになっています。このゴミ箱は原宿にある寄付をテーマにしたコミュニティスペース「subaCO」内にあります。

原宿に設置したタピオカ専用ゴミ箱

さらに、今年9月に日本で開催されるラグビーW杯に合わせて、昨年「ゴミ袋でトライプロジェクト」を立ち上げました。試合前に観客の皆さんへ特殊なゴミ袋を配布します。それは、袋の上下を結ぶとラグビーボールになる仕掛けのゴミ袋です。

会場内には芝生を敷いてミニグラウンドを作り、ここにゴミ袋をトライしてもらいます。こうすることで、観客には楽しさを感じてもらいながら、スタジアムの美化につなげることができました。よくニュースなどで試合後にスタジアム内をゴミ拾いするサポーターが取り上げられていますが、本当はこういう人が必要ない、つまりゴミが落ちていないスタジアムが一番カッコイイなと考えている中、この企画を思いつきました。

ラグビーのトライにかけ合わせて企画した「ゴミ袋でトライプロジェクト」

――福田さんは今年7月に代表に就任するために、大手広告代理店を辞めましたが、企業で働いていたときと比べて働き方は変わりましたか。

福田:しがらみから解放されたことが一番大きな違いだと思います。そのため、やりたいことに自由に挑戦できています。

サラリーマン時代はやりたいことがあっても、クライアントの意向が強く、さらに、上長など上司の承認が必要でした。

グリーンバードでも、様々な企業から活動費として協賛金をもらっていますが、「クライアント様」ではなく、一緒に社会課題を解決する仲間、パートナーという関係でプロジェクトに挑めます。決定するスピードも速く、ぼくたちの感覚で、「面白い!良い!」と思ったことをすぐに企画に落とし込めます。

プロジェクトによっては、有名なデザイナーやタレントが関わってくることもあります。ゴミ拾いはどんなジャンルともコラボできるので、広告代理店にいたときよりも多くの人と関わっている気がします。

グリーンバードを立ち上げた長谷部健さん(渋谷区長)からは、「つなぎ役になれ」と助言を受けました。ゴミ拾いを軸に企業と行政、地域などをつなぎ、発信していきたいと思っています。

「ゴミ拾い」を軸にさまざまな団体と連携していく

――福田さんは18歳の高校3年生のときにグリーンバードの活動に参加していました。もともと環境意識は高かったのでしょうか。

グリーンバード3代目代表の福田さん

福田
:10年前の夏休みに始めて活動に参加したのですが、環境問題に関心があったからではありません。実は、当時、スポーツ推薦で大学に入学するため、推薦書を書いていたのですが、そこにボランティア経験の有無を記入する欄がありました。

勉強も厳しく、長期休みも毎日部活漬けで、家と学校の日々だったため、ボランティア経験はもちろんありませんでした。そこで監督に相談したら、「どこかでボランティアして来い」と。インターネットで、「東京、ゴミ拾い」と検索して、偶然見つけたのがグリーンバードでした。

電話すると「へ〜高校生なんだ。いいじゃん、来なよ。そうじ用具とかいらないから、手ぶらで動きやすい格好でおいで」と。この電話対応してくれた人が、長谷部さんでした。

実際に行ってみたら、まず参加者に驚きました。真面目に環境問題に取り組んでいる人が集まるものだと思っていたのですが、なんとそこには、おしゃれな美容師、音楽家、占い師、主婦、そして、人気アイドルもいました。様々な人が集まっていたので、「これは面白いな」と感じました。

後日、ミスコンモデルの子たちと一緒にゴミ拾い活動をするイベントの誘いを受けて、「もしかわいい子と一緒にゴミ拾いしている写真をSNSに投稿したら自慢できるんじゃないか」と思い、参加して、写真付きで投稿しました。

すると、それまでで一番反響があり、「おれも今度参加したい」などというコメントをたくさんもらいました。これが、ぼくがゴミ拾いの可能性を体感した原体験です。

社会人になっても、グリーンバードの活動は続けて、2代目代表の横尾俊成さん(港区議会議員)にも大変お世話になりました。ぼくがまちづくりにこれほどまでに関心を持った理由は、紛れもなく長谷部さんと横尾さんから、まちづくりのイロハを叩き込まれたからですね。

初代と2代目が政治家のため、よくぼくも政治に進むのかと聞かれるのですが、現段階ではその気はないです(笑)政治以外でも、まちづくりに関われる時代になってきたので、今はグリーンバードの代表として、ゴミ拾いを通してまちを良くしていきたいですね。

ゴミ拾いの魅力はまだまだ語りつくせないのですが、一番は拾う側の立場を体験してほしいです。色々な人と出会えますし、合コンのときなんかは、「週末は何をしているの?」と女の子に聞かれたときに、ほかの男子がサーフィンやゴルフなどと答えるなかで、「ゴミ拾いしてるよ」と答えると、間違いなく誰よりも興味を持ってもらえます(笑)。これはぼくの実体験から保証できます。

認定NPO法人グリーンバード



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