かつてない気候危機に直面し、「気候の10年」と言われるなかで、「地球環境」のため銀行口座を変える若者が増えている。Z世代やミレニアル世代はほかの世代と比べて社会貢献思考が高いとされるが、彼らは何を考えて、アクションを起こすのか。(オルタナS編集長=池田 真隆)

ダイベストメントを推奨する渡辺さんら350.org japanのメンバー

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” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]「ダイベストメント」という言葉を聞いたことはあるだろうか。化石燃料や原子力関連企業に投融資している銀行から、預金を「ダイベストメント(投資撤退)」して、これらに投融資していない銀行へと口座を乗り換える行動を指す。

実は、世界の石炭火力開発企業トップ258社に融資を行う銀行のランキング(2017年~2019年9月)で邦銀が上位1~3位を独占している(1位は、みずほフィナンシャルグループ、2位は三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)、3位は三井住友フィナンシャルグループ(SMBC))(参考:国際NGO 350.org japan「脱炭素競争」)。これらの銀行から口座を乗り換える若者が増えている。

3メガバンクが上位を独占した

ダイベストメントは預金口座を引き上げることで、気候危機への意思を表明する取り組みでもあるのだ。日本でダイベストメントを展開してきた草分けは、350.org japanという国際NGOの日本支部だ。2015年から、個人や法人向けにダイベストメントを推奨してきた。同団体の呼びかけに応じた人数は1000人を超え、その内7割が10代~30代の若者だ。

同団体のキャンぺーナーの渡辺瑛莉さんは、「若者の方が、危機感が強く、行動に移すのが早い」と言う。その理由について、「生まれたときから環境や社会問題が深刻で格差も広がっている。常に問題に囲まれて育ってきたから、感度が高い」と述べる。

さらに、デジタルネイティブである彼らは瞬時に世界中の情報にアクセスが可能だ。その一環で、環境問題を知る若者も多いという。

お金の「流れ」で社会変革へ

350.org japanでは、お金の「流れ」を変えることで、より良い社会を目指している。ダイベストメントを表明した人数を銀行に伝えることで、プレッシャーを与える。海外では、人材が集まりづらくなる要因の一つにもなっている。

2020年代は「気候の10年」だ。これは、人類の存続が掛かった「10年」が始まったことを意味している。渡辺さんは、「産業革命の時から化石燃料にお金を使ってきて、今はそのツケが回ってきた。これからは、再エネなど脱炭素にお金を使うべきだ」と主張する。

350.org japanの「脱炭素競争」

銀行を見定めるために、6月には同団体の公式サイトで「特集」を組んだ。その名称は「脱炭素競争」。日本の3メガバンクの投融資状況を環境視点で分析した。さらに、脱炭素に向かうグローバルの潮流や日本政府による公的支援を諸外国と比較してまとめた。この特集の責任者を務めたのが渡辺さんだ。約1カ月をかけて、海外の参考文献などにあたり、各項目を分かりやすく図表で示した。

もとはメディア関係者向けに作ったものだが、学生など一般向けにも非常に有益な情報が集約されている。常時、更新していく予定だ。

中学生の時から貧困問題などに関心を持っていた渡辺さんは、大学生のときにバックパックで行った東南アジアで衝撃を受ける。そこで建設されていた石炭火力発電所は、日本の支援で作られていた。日本人として責任を感じた渡辺さんは、帰国後は環境問題に取り組むNGOなどでキャリアを積んできた。

「経済・社会構造を変えないと気候変動は解決できない。お金を上手に使うことで、よい社会はつくれる」と強調する。

脱炭素競争