前回の寄稿で、地球温暖化と大雪の関係を書かせていただきました。地球温暖化により海水温が上昇し、水蒸気が増えてそこに寒波が入ると大雪を降らせる。

2021年1月10日 石川県金沢市の雪の様子 筆者の自宅前

では、その地球温暖化の原因は?

二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類などの温室効果ガスが増えることで地球の平均気温が上昇する。それが地球温暖化です。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は2018年に特別報告書『1.5℃の地球温暖化』に関する アントニオ・グテーレス国連事務総長声明を発表しました。その中で、異常気象の増大、海水面の上昇、北極海氷の後退など、気候変動の影響は私たちの周囲の至る所に現れていて、気温上昇が1.5℃で抑えられる場合と、2℃まで上昇する場合の差について警告しています。

わずか0.5℃の差によって、数千万人を多くの熱波が襲うことになり、生物種の消失は一気に増加。一部地域では水不足がさらに広がり、夏に北極海が氷結しない現象は10倍に増える。そして、世界からサンゴ礁が完全に姿を消してしまうと。

地球温暖化をもたらす温室効果ガスの中で最も影響が大きいものが二酸化炭素です。石炭や石油の消費などで大量の二酸化炭素が大気中に放出されます。また、森林伐採が進むことで大気中の二酸化炭素の吸収源である森林が減少していることも問題です。

そして、二酸化炭素排出の大きな要因の1つにプラスチックも上げられます。

プラスチックが地球温暖化の要因となる理由は大きくわけて3つ考えられています。

1つ目は石油の消費。

原油掘削時、原油輸送時、石油精製時など様々な場面で温室効果ガスを排出します。少し古いデータですが2014年には、石油生産の6%がプラスチックに使われました。このまま行けば、2050年までには20%になると言われていて、そうなると2014年には1%だったプラスチックが原因の温室効果ガス排出は、2050年には最大15%にまで増えることになります。

2つ目は、プラスチックの焼却。

日本の廃プラスチックの有効利用率は、「マテリアルリサイクル」が23%、「ケミカルリサイクル」が4%、「サーマルリサイクル」が56%でサーマルリサイクルが大半を占めていることがわかります(※1)。「サーマルリサイクル」とは、プラスチックごみを燃やした際に得られる熱エネルギーを回収するリサイクルのこと。プラスチックごみをエネルギーに変えられるという点でサーマルリサイクルにも一定の意義はありますが、欧米基準ではサーマルリサイクルはリサイクルに含まれません。その定義は別にして、プラスチックごみが燃やされると、間違いなく温室効果ガスが発生します。

そして3つ目がプラスチックの劣化。

最近の研究でわかってきたことが、プラスチックの劣化と温室効果ガスの関係です。2018年に、海水に数日間浸されたプラスチックが太陽の紫外線や熱で劣化する過程で、メタンなどの温室効果ガスが発生することをハワイ大学が研究発表しました。(※2)

海岸に打ち上げられた無数のプラスチックごみ。これらが太陽の紫外線と熱でさらに劣化してマイクロプラスチックとなる。2020年1月12日 石川県金沢市専光寺浜にて撮影

このように、プラスチックは生産から廃棄に至るあらゆる過程で温室効果ガスの原因となり、地球温暖化をもたらすのです。

僕たちカエルデザインではリハビリ型就労スペース「リハス」の障害を持つ仲間たちと海洋プラスチック、マイクロプラスチックをアクセサリーにアップサイクルしているのですが、自然界に流出したプラスチックごみをマテリアルリサイクルでもなく、ケミカルリサイクルでもなくサーマルリサイクルでもなく、できるだけエネルギー消費を抑えてアップサイクルすることでわずかであっても地球温暖化の防止に貢献したいと思っています。

海洋プラスチックをアップサイクルしたカエルデザインのアクセサリー

(※1) 一般社団法人 プラスチック循環利用協会が発行している「プラスチックリサイクルの基礎知識2020」より

(※2) 国連環境計画(UNEP) https://www.unenvironment.org/news-and-stories/story/double-trouble-plastics-found-emit-potent-greenhouse-gases

(※3)もちろん海岸で回収された海洋プラスチックの配送、アップサイクルの工程で二酸化炭素が排出されますが、ケミカル、マテリアル、サーマルリサイクルと比較すればその量は少ないと考えています。