2020年7月1日からレジ袋の有料化がスタートした。これを機に、いわゆるエコバックを持ち歩くようになった方も多いのではないだろうか。

今回はエコバックを製造する際の環境へ与える負荷も含めて、果たしてエコバックはレジ袋より本当にエコなのかを検討してみたいと思う。

■日本では年間305億枚、原油で42万㎘相当分のレジ袋が消費されている

2017年に作成された経済産業省の資料によれば、スーパーで使用されるLLサイズのレジ袋換算で、国民一人当たり年間およそ300枚、総数では305億枚となり、資源採取から最終処分までにかかるエネルギーをすべて計算し、レジ袋の原料である原油に直すと、約42万キロリットルになるとの記載がある。

この量は、超大型の石油タンカー2隻分であり、25mプール約1,200個分とのこと。(この計算は焼却の際のエネルギー回収(電力回収)を含む(産業技術総合研究所試算))

石油精製工場(イメージ)

果たして、このレジ袋をエコバックに変えることにより、本当にエコな行動になるのかを次の項目で考察してみることにする。

■エコバックは使い続けなければエコではない

2018年2月にデンマークの環境省の資料「Life Cycle Assessment of grocery carrier bags(食品用エコバッグに関するライフサイクルアセスメント)」によれば、原材料、製造、使用、廃棄までの環境への負荷を含めて計算すると、紙バッグでは11回、布製バッグで840回、オーガニックコットンのバッグでは2,400回使用して初めて、レジ袋と同様の環境負荷になる、との驚きの研究結果が発表された。

要するにエコバックを使用することにより「エコ気分」は味わえるかもしれないが、同じエコバックを使い続けなければ逆効果ということもあるということだ。

■まとめ

もちろん読者の皆さんはお分かりだと思うが、レジ袋を再利用すれば、エコバックをさらに使い続けないと環境負荷はレジ袋のそれと同様にはならない。

それでは、レジ袋を使うべきなのだろうか?

筆者の考えは「NO」である。

やはり従来のレジ袋は、自然に還ることなく、海洋汚染等の原因になるからだ。

私たちにできることは、気に入ったエコバックは使用できなくなるまで使用し、もしお手元にレジ袋があるのであれば、エコバックのサブバックなどに使用してみていかがだろうか。

これも立派なサステナブルな行動だと筆者は考える。

有限会社シナプス代表取締役 福室貴雅
アニメーション動画などを制作する会社を生まれ故郷の湘南で営む。
「湘南ビーチクリーンforカエルデザイン」主催
一般社団法人日本クリプトコイン協会理事
株式会社クリーション(クイックまつげエクステ)COO
元レディースアパレルデザイナー