2019年3月、フィリピンの海岸に瀕死のクジラが打ちあがり、翌日に死んでいるのが確認された。このクジラの胃の中には、約40kgものプラスチックごみが溜まっていた。死に至った原因は、餓死とも伝えられている。要するに、プラスチックは消化ができないので、胃の中に留まり続け、栄養が取れなくなったのが直接の死因とのことだ。

100%天然素材で、生物が摂取しても無害

今回は、タピオカの原料であるキャッサバ芋を使用したプラスチック袋の代替品を紹介してみたいと思う。

原料になるキャッサバ粉

開発したのはインドネシアの企業AVANI

100%天然素材で、生物が摂取しても消化され、無害とされている。約80度のお湯の中では、ものの数分で溶けて跡形もなくなり、100日程度で土にも還る。

よってマイクロプラスチックにもなることはない。

AVANI社提供の実証ビデオがあるのでご覧ください。

動画をご覧になった読者の皆さんは、以下のような疑問が湧くのではないだろうか。

「海水の中で溶けなければ、意味がない。SDGsウォッシュではないか!」

このキャッサバを使用したプラスチックの袋は、「通常の海水温でも45日以内に溶解し、経口毒性試験にも合格しているので、海洋生物が摂取しても安全である。」とのことである。

実際の製品 出典:AVANI公式ホームページ

生分解性プラスチックの現状

昨今においては、環境問題への配慮から「生分解性プラスチック」の開発も進み、既に多く製品も世に出てはいるかと思う。

しかし、海水中で生分解するプラスチックはまだまだ少ない。

事実、冒頭で紹介したフィリピンの海岸に打ちあがったクジラの胃の中からは、生分解性のプラスチックも見つかっている。

そういった意味では、いかなる環境下でも生分解するプラスチックの開発が急務ではないだろうか。

まとめ

筆者はプラスチックの存在自体が諸悪の根源だとは考えてはいない。

プラスチックは20世紀最大の発明であると謳われることすらあり、その恩恵は計り知れない。

先ずもって我々は、正しくプラスチックを利用し、正しく廃棄及びリサイクルのルートに乗せる必要があるのではないだろうか。

有限会社シナプス代表取締役 福室貴雅
アニメーション動画などを制作する会社を生まれ故郷の湘南で営む。
「湘南ビーチクリーンforカエルデザイン」主催
一般社団法人日本クリプトコイン協会理事
株式会社クリーション(クイックまつげエクステ)COO
元レディースアパレルデザイナー