「保護した動物たちが、愛情を受けて幸せに生きられるように」――。そんな思いで1990年から30年にわたり動物を保護し、里親に譲渡する活動を続けてきた団体があります。保護の傍ら、動物たちをもっと広々とした安心できる場所で世話したいと、12年前からは 兵庫・丹波篠山にある広大な敷地でシェルターを建設中です。25歳で英語教師として来日、今年80歳を迎えた代表に話を聞きました。(JAMMIN=山本めぐみ)

行き場を失った犬や猫を保護

2020年11月21日、島根県の多頭飼育崩壊現場より雄2頭、雌5頭の計7頭の犬たちを保護。不妊去勢手術や予防接種などは既に済んでいるため、健康チェックなどを済ませ次第、里親の募集を開始する予定だという

認定NPO法人「アニマルレフュージ関西(ARK、以下『アーク』)」は、行き場を失った犬や猫を保護・譲渡する活動をして今年で30周年を迎えます。大阪の2拠点に約100頭、東京の一時預かりボランティアさんの元に約10頭の動物を保護しており、その世話や譲渡活動の傍ら、2008年より兵庫・丹波篠山の7000坪にも及ぶ広大な敷地「篠山アーク」で、動物たちが安心して暮らせるシェルターの完成を目指しています。「まだ、描いた構想の途中段階」と話すのは代表のエリザベス・オリバーさん(79)。

30年前にアークを立ち上げた代表のオリバーさんは今週、80歳を迎える。篠山アークの犬舎をバックに

「最近の活動の大きなところでは、ニュースでも大きく報道された島根県出雲市の多頭飼育崩壊現場から犬を保護できないかと他の団体さんとも協力しながら動いています。この現場に限らず、これまでにたくさんの多頭飼育の現場へ足を運びましたし、行き場を失った動物を保護してきました。しかし私も80歳を目前に、昔のように思いたったらすぐどこへでも出かけるということは少し難しくなりました。すべての現場に行くことも、そこにいるすべての動物を保護することも難しい中で、スタッフのサポートなしにはなかなか難しいと感じることも少なくありません」

「篠山アークには現在までに2棟の犬舎が建ちました。しかしまだまだ構想の途中です。犬だけでなく猫のためのシェルターや来てくださるボランティアさんが寝泊りできる施設、獣医さんの部屋も作りたいと考えていますし、そのための広い場所もありますが、工事費の工面が難しく、完成までにはまだ時間がかかりそうです」

「ペットにとって、家庭がいちばん」

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