2019年は統一地方選挙と参議院議員選挙が行われることで、「選挙イヤー」とも言われている。そこで、若者と政治の距離を縮めるにはどうすればよいのかを探っていきたい。第1弾は、大手広告代理店でブランディング・プロデューサーとして活躍した経歴を持つ木下ふみこ東京都議会議員(板橋区選挙区・1期)に聞く。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)
■学校で近現代史をもっと教えて
私はこれまでに、普段政治に関心のない人向けのキャンペーンにも参画し、わかりやすく伝えたり情報発信の場を変えてみたりするなど、工夫してきましたが、「毎回同じような人しか参加せず、拡がって行かない」ことが悩みでした。
若者と政治の距離を縮める一つのカギは、教育現場にあると思います。なぜか学校では近現代史を教える時間が少なく、その結果、政治に距離感を抱いてしまう構造。遠くの世界で起きていることとして見えているかもしれませんが、政治は身近な課題と密接につながっています。
待機児童や空き家対策、電柱の設置場所など地域で起きているありとあらゆる課題が政治と関わっています。しかし、一票が世の中とつながっている認識を十分に理解できないまま教育を受け、18歳になったら「投票へ行きなさい」と突然言われてしまう。
そこで、私が提案する有効策は、学校での模擬選挙の徹底です。学校の中で、民主主義について体感してもらう機会をつくることで、1票の意味を理解してもらいたいです。これは投票率の高いスウェーデンなど海外でも採られている手法です。
日本では、支持する政党やジェンダー、宗教について話すことをタブー視する風潮があります。投票率を上げるためには、この意識も変えていきたい。
広告代理店で数多くのキャンペーンに関わってきたから言えるのですが、自走するためには、当事者が自分事として楽しむことが必要です。政治は硬い・難しいと思われがち。政治に「真面目な楽しさ」を感じてもらえるようにしたいです。
木下ふみこ:
働きながら、ひとり娘を育てるシングルマザー。
都議会議員(板橋区選出)1期
都民ファーストの会東京都議団副幹事長
元・株式会社博報堂 ブランディング・プロデューサー
元・内閣府男女共同参画局政策企画調査官
元・内閣官房まち・ひと・しごと創生本部 地方創生人材支援制度(日本版シティマネージャー)1期生