一般社団法人食品ロス・リボーンセンター(東京・千代田)では、エコフィードを普及しています。エコフィードとは、エコロジカルやエコノミカル(節約する)の「エコ」と飼料を意味する「フィード」を掛けわせた造語です。原料は食品工場で余った炊飯やスーパーの売れ残りなどだ。これらを殺菌、発酵処理などを施して飼料にする。(オルタナS編集長=池田 真隆)
濃厚飼料8割超が輸入
畜産業の経営コストの3─6割を占めるのが飼料費です。特に、穀類などの濃厚飼料は88%を輸入しています。過度に輸入飼料に依存している体質から国産飼料に立脚した畜産経営の実現を図り、飼料自給率の向上を図ることがエコフィードの意義です。
農林水産省の「食料・農業・農村基本計画」では、飼料全体の自給率を2030年度までに34%に伸ばすことを目標に定めています(2019年度の飼料自給率25%)。
さらにエコフィードのメリットとしては、食品残さの有効利用だけでなく、飼料コスト削減、家畜の生産性、畜産物の品質向上が期待できます。
「肉質、大きく違う」
エコフィードの製造数量は近年ほぼ横ばいで推移。2019年度のエコフィード製造数量は約119万TDN㌧(概算)であり、濃厚飼料全体の約6%です。今後は濃厚飼料自給率を高めるため国産原料由来のエコフィードの利用拡大を目指しています。
2009年には、科学飼料協会は食品リサイクルへの関心を訴求するため、エコフィードの認証制度を始めました。一定の基準を満たす飼料をエコフィードとして認証します。2020年7月時点で44銘柄が認証を受けています。
さらに、その認証済みのエコフィードを飼料として給与した畜産物に対しては、エコフィード利用畜産物として認証しています。2020年7月時点で7商品が認証済みです。
群馬県前橋市にある悠牧舎は認証の取得を目指す養豚業者です。飼育環境に配慮して、分娩舎、離乳舎、肥育舎全てに床暖房を導入。
肉豚飼料の70%以上を食品工場の製造過程ロスを利用した発酵リキッド飼料にしているので、脂肪酸組成を整えた均質な肉豚生産を行っています。2019年にはエコフィード利用の畜産物農家として表彰を受けました。
悠牧舎の阿久澤和仁社長は、「エコフィードで育てた豚の肉質はまったく違う。一般のエサではマネできない」と語ります。