「新しい国際協力の枠組みをつくりたい」という意気込みから生まれたビジネスコンテストが最終章を迎える。年明け1月18日、161案のアイデアの中から選抜された8案で最終プレゼンを行う。民間発のアイデアで途上国の社会変革を加速させる。(オルタナS副編集長=池田真隆)
同コンテストは、開発コンサルティング会社アイ・シー・ネット(さいたま市中央区)が主催する。社会的課題を解決する革新的なアイデアを競う「40億人のためのビジネスアイデアコンテスト」だ。
同社が手がける途上国の開発プロジェクトでは、日本政府や国際機関など公的機関から資金が提供される。そのため、一定の制約や枠組みの中で活動をする必要があり、革新的なアイデアを実行に移すには限界がある。
従来の公的資金による開発プロジェクトに加えて、民間発の新たなアイデアで生み出されるビジネスを立ち上げることで、同社は新しい「国際協力」の形を生みだしたい考えだ。
長期的には、数年で終わりを迎える単発の支援にとどまらず、長い間、途上国にも利益をもたらすことのできるビジネスの創出を視野に入れている。コンテストで受賞したアイデアは、同社が持つ100カ国以上の途上国とのネットワークや業務経験を生かし、事業化することを目標としている。
■アイデアは事業化
12月14日には、メンターの一人であるクロト・パートナーズの石橋哲代表と最終審査に臨む8人が、ビジネスアイデアについて活発な議論を交わした。石橋代表は、日本長期信用銀行、シティバンク銀行で十数年にわたって不良債権処理などを担当した後、産業再生機構に参加。ダイエーの再建を手がけ、東京電力福島第1原発事故を検証する国会事故調では調査統括補佐を務めた。
金融機関の立場で様々な業種・業態と向き合ってきた経験から、石橋代表は、疑問を投げかけたり、時にはまったく別の業種の手法を紹介したりしながら、8つのアイデアを磨きあげた。
どれもユニークなアイデアばかりだ。途上国で低価格の音楽教育を提供する案や、深刻な大気汚染に悩む中国で企業の広告入りマスクを無料で配布する案、さらに、自動車の余剰電力を取り外し可能なバッテリーに充電し、送電網がない地域で電力を利用する案も。
アイデアを考案した8人は、全161案の中から事前審査を勝ち抜いた。会社員、起業家、大学生などバックグラウンドは多岐に渡る。
コンテストの責任者を務める、同社の多田盛弘部長は、「アイデアを事業化することが特徴」と話す。最終審査に残ったアイデアの中から選抜されたアイデアについては、事業化の可否、採算性、課題などを検討するための現地調査を控えている。
事業化の際には、発案者は様々な形で事業化に関与してもらうことを想定している。仕事を持つ社会人はアドバイザーとして、学生には入社してもらう可能性もある。
「最終審査に残ったアイデアは、どれもビジネスで途上国を変える可能性がある。必ずこの中から事業化に向けて動き出すアイデアが出てくるので、期待してほしい」と多田部長は話す。
【40億人のためのビジネスアイデアコンテスト 最終審査会】
日時:2014年1月18日(土)13:00~18:00(開場・受付開始 12:30)
場所:ベルサール六本木 1F
参加費:無料
人数:先着150人
申込方法:IC NETホームページで受付中。お申込みはこちら。
申込期日:2014年1月13日(月)23:59