アルゼンチンのブエノスアイレスでは、仕事納めの日にその年に使用した書類を投げ捨てる風習がある。
その年にもよるが大抵は12月30日、31日が仕事納めで、1月1日が休日である。それらの仕事納めの日の終了時間の少し前に、その年利用した用紙、不要になった書類、電話帳、領収書などを無造作に破り一斉にビルやマンション、自宅などから投げ捨てる。
この風習の起源は正式にはわかっていないが、サッカー好きなアルゼンチン人が観戦の際、盛り上がった時よく紙吹雪を使うことから派生したのではないかと言われている。
そこかしらの窓から大量の紙吹雪が舞い散る光景は壮観である。多いときで約100トンの紙が宙を舞う。窓から溢れ出る1年間の思い出を見て人々は1年間を振り返り、また新たな気持ちで新年を迎える。
道路は辺り一面紙だらけになるが、当の本人たちはどこふく風。そこはラテン人特有のおおらかさである。その年で溜まったストレスを思い切って窓から投げ捨てる。もちろん、しっかり市の清掃職員たちが後日町を掃除する。
東京からブエノスアイレスに観光に行った会社員の戸田大輔さんは「初めて見た時は何か事故でも起きたのかと思ったが、実際に自分も紙を投げてみると気分がすっきりして、また新たな気持ちで新年を迎えられた」と話している。(オルタナS特派員 池田真隆)