太平洋とカリブ海の間に位置するコスタリカ。この国では激しい内戦の末、1949年に新憲法が施行された。それは日本と同じく「平和憲法」であり、12条には「常設的機関としての軍隊は禁止する」と明記されている。日本とは異なり、本当に軍隊が廃止された。
内戦の要因となり、政治を混乱させる組織であるとして、軍備を撤廃したコスタリカ。それ以降、他のラテンアメリカの諸国家に見られるような内戦およびクーデターは起こらなくなった。
「再軍備に賛成するコスタリカ人には会ったことがない」とコスタリカ研究科の足立力也氏は、著書『丸腰国家』(扶桑社新書)で述べている。それを裏付けるように、2003年のイラク戦争の際、 米ブッシュ政権を支持する声明に署名した当時のパチェーコ大統領を、コスタリカ大学の学生(当時)が平和憲法違反であると最高裁に提訴し、米国支持を無効とさせたというエピソードがある。
平和憲法の順守により常設軍を撤廃したコスタリカは、浮いた軍事費を含めた国家予算の2割を教育費に充てることで、小中学校の無料化を実現した。この国を参考に、限りある財政資源をどのように運用するか、もう一度見つめ直すのもいいだろう。(オルタナS特派員 塩野健介)