2004年に経済協力開発機構(OECD)が行った子どもの学力調査PISAで、フィンランドは世界41か国中、総合トップに輝いた。しかし平均的な授業時間数は対象国の中で最も少なく、塾もなければ家庭教師もない。一体どんな教育が行われているのだろうか。

フィンランドの教育は自由で自主性を育み、結果も出している


まず日本と一番の違いは、学校に決定権があること。フィンランドでは地方分権が進み、学校や教師に大きな決定権が与えられているため自由にカリキュラムを組むことができる。教師も地方公務員ではなく学校の一職員であり、自分のクラスに合わせた授業を行うことができる。

また大学の仕組みも日本とは異なる。高校を卒業してすぐに大学へ進む人は少なく、短期のコースに通って興味のあることを勉強したり、国内や海外でアルバイトをしたりした後に入学する人が多い。そのため大学に入学する学生の平均年齢は23歳だ。

入学後は学年というものがなく、規定単位をとったら卒業になる。一年のうちにとるべき単位数や科目は特に決められておらず、自分の勉強したいことが自分のペースで自由にできるようになっており、卒業する時間も人それぞれ。ちなみに大学の授業料は無料なので何年も学生を続ける人もいる。

このように自由で柔軟な教育のもと、フィンランド人は学びたいように学びたいだけ勉強できる。そして大人になったフィンランド人は世界一汚職の少ない「クリーンな政治」を築いている。日本のがっちりとした教育は、そろそろ見直す必要があるかもしれない。(オルタナS特派員=木村絵里)