CAMPFIREのオフィスにあるプロジェクトのリターン。サイト開始半年で、合計約2000万円の支援金が集まった。写真/㈱ハイパーインターネッツ代表取締役の石田光平さん



プロジェクトに必要な資金を、ネットを通じて多数の支援者から収集し実現する「クラウドファンディング」。事業資金を集める新しい手法として存在感を増している。
ソーシャルメディアの普及が追い風になり、人気を集めるこのサービスは、今まで必要経費だと思われていた「集客のための広告費」を0円にする可能性がある。


2011年12月にオープンしたコワーキングスペース「渋谷co-ba」は、自由に働くクリエイティブワーカー間の交流が活発なシェアオフィス。開業資金の一部(約75万円)を、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE 」で集めた。さらに、彼らを支援した人が取り組みの面白さをソーシャルメディアで広めた事で注目が集まり、問い合わせや新聞・雑誌の取材が殺到した。

co-baの運営会社であるツクルバの村上浩輝CEOは、クラウドファンディングを利用した理由を2つ挙げた。「一つは、元々僕らを応援してくれていた人々が参加できる仕組みだったこと。もう一つは、情報拡散力に期待したこと。早期からクラウドファンディングに反応している人は、僕らのサービスのターゲット層でもあり影響力のある人が多い。彼らに面白いと思ってもらえたら、情報が早く広まると思った」。予想は的中し、広告宣伝費0円で開業前に定期利用者が目標の40名に達し、黒字経営が確定するという事態になった。


彼らの夢を叶えたCAMPFIREを運営するハイパーインターネッツの石田光平代表はこう語る。
「やる気とアイデアがあっても、お金が無いという理由で諦める人が多い。そういう面白いコンテンツをマネタイズ(収益事業化)出来ないかと考えた。新しい事業を始める時に、ここを発射台として使って欲しい。そういうプラットフォームを作ることが僕らの使命だと思う。人集めのためにお金を使わなくても、良いコンテンツを作り続けていれば、人は自然と集まってくる。ソーシャルメディアがあるから出来ること」。


CAMPFIREのサイト/支援額に応じてリターンが付く



会員数は非公開だが、利用者の属性はTwitterやFacebookのユーザーとほぼ同じで18~44歳までの男性が多いという。支援者をパトロンと呼び、500円から参加出来る気軽さとクリエイティブ色が強いコンテンツを集めている所が特徴だ。また、支援の見返りを金銭的な物とせず、限定ノベルティグッツやプロジェクトの進捗情報といったサービス・感動をリターンとしている。


「共感」を軸に利害関係のない繋がりを生むソーシャルメディアが、広告はお金を払ってするもの、という概念を変える日もそう遠くないだろう。
(オルタナS特派員=中川真弓)


■マイクロ・パトロン・プラットフォーム―CAMPFIRE http://camp-fire.jp/
■渋谷co-ba http://co-ba.jp/