子供の教育機会の格差を是正する活動を行う一般社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」(兵庫県西宮市)が提供する学校外教育バウチャーが今注目を集めている。バウチャーとは、学習塾や予備校など学校外の教育サービスに限定されたクーポンのことで、主に市民や企業の寄付金をもとに発行される。

同団体は昨年の東日本大震災を受け、被災地の子供たちに教育機会を与える支援を行いたいとの思いから昨年6月に設立された。昨年12月からバウチャーの提供を受けている被災地の子供たちの数は150人にのぼる。実際に支援を受けている子供からは「今は頑張って勉強をして、将来は自分の生まれ育った町の復興に貢献したいです。」という声が寄せられたという。

こうした活動の背景には、親の経済力の差で子供たちの学習機会に格差が生まれるという現実がある。「日本では実に半分以上の子供たちが学校外教育を受けていて、塾などに通うことは当たり前になっています。だからこそ、震災によって子供が将来をあきらめるようなことはあってはならず、平等な教育機会を与えられるようにしたい。」と同団体代表理事の今井悠介さんは語る。

3月10日・11日に大阪の梅田スカイビルで行われた震災からの復興を応援するイベント「3.11 from KANSAI」にも同団体は参加し、活動を広く知ってもらうのとともに被災地の子供たちの現状を訴えた。「震災からの本当の復興はまだまだこれから。バウチャーを通じて被災した児童や生徒の成長を長くにわたり支えることで、被災地の復興に寄与したい。」と今井さんは語った。(オルタナS関西特派員橋本翔一朗)