児童養護施設で保護されている乳幼児から小学校3年生までを対象にした就職支援イベント「お仕事ってなぁーに?」が2011年1月、新宿で開催された。

大工職人に教わる児童  写真提供:ハーレーサンタクラブ


参加したのは3歳から10歳までの児童約100人。当日は、大工職人や警察官、消防士ら120人ほどが集まり、児童たちの職業体験をサポートした。このイベントでは、大人が児童らを誉めることで、職業についての理解や、大人への印象を変えていくことが目的とされている。

主催は、ハーレーサンタクラブ。児童虐待防止を訴えるオレンジリボン運動の一つとして、児童虐待を受けている子どもの早期発見・保護の啓蒙活動を目的としたオートバイでのデモ行進も行っている。

児童養護施設で保護されている児童は18歳になると卒園しなくてはならない。大学や専門学校に進学する割合は18.2%(厚生労働省2008年調査)と低く、73.4%が就職をする。この背景には就職を自主的に選択するというよりも、大学の学費と生活費面での弊害が存在する。

しかし、就職をしても離職率は高い。幼少の頃に受けた虐待や、施設に入ることで大人との接点が少なくなり、 大人とのコミュニケーションを避けてしまい、存分に就職活動ができないことや、大学や専門学校に通えないので、自分の適正な職業が分からないことが原因とされる。

また、頼る親がいないことや、転職を繰り返すうちに、保証人との距離を子どもたちの方からとっていくようになり、お金を借りることすらできない。

ハーレーサンタクラブでは、今年夏にも就職支援イベントを開催する予定である。代表の峰たかしさんは「ネットで僕たちの活動を知って支援を申し出てこられた施設出身の女の子は今、風俗で働いていると言われ、『その落とし穴の危険性を子供たちに教えてあげてほしい』と言われた事もあります。些細な事かもしれないですが、このイベントで子どもの時に大人から思いっきり誉めてもらい、就職活動での参考にしてもらえたらと願っています」と話す。(オルタナS副編集長=池田真隆)


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