東京大学大学院1年生時に国家公務員1種の採用試験に合格した安原健朗さん(24)が選択した進路は、NPOだった。

「教育格差を解決したいと意気込む安原さん


安原さんは、大学院に入学した2010年5月から就職先であるNPO「Teach For JAPAN(ティーチフォージャパン・以下TFJ)」(東京・千代田)の立ち上げに関与。さらに、震災支援団体「Youth for 3.11(ユースフォー3・11)」を創設したメンバーの一人。同団体では、ボランティアがしたい学生と人手不足で悩む被災地支援団体とのマッチングを行い、延べ1000人以上の学生を被災地へ派遣した。

NPO職員としての人生を選択した就職先のTFJは教育格差が存在する学校に成長意欲が高い将来のリーダーとなる若手人材を教師として2年間派遣する事業と放課後や休日に選抜し、研修した学生を生活保護受給世帯や震災した世帯の子どものもとに派遣する。

TFJは2010年に米国有数の大手企業を抜き、全米の大学生就職ランキングで1位になった「Teach For America(ティーチフォーアメリカ)」の公式パートナー団体。安原さんは、元々環境によって教育機会の不均衡が生まれることへの問題意識を持っていた。将来は文科省に入り、教育格差の課題を解決したいと思い院に進学した。

しかし、2011年の6月、転機が訪れる。安原さんが修士2年生の時に行った教育実習の時、これまでのボランティアでの経験や出会ってきた人々について内省したことがきっかけとなり、NPOへの道を選択する。一ヶ月、教育実習生として現場体験を終えると、「自分が社会の中でNPOとして働くことへの役割を見出した」と振り返る。

さらに、NPOへの進路を後押しした背景には、同団体の代表理事である松田悠介氏の言葉がある。それは「知ってしまったことへの責任」という言葉である。現状の教育格差の課題を見て、ほうってはおけない気持ちになったという。

安原さんは「今後は、学生と行政とのハブとしての役割もはたしていきたい。また、ソーシャルメディアを通して教育格差の問題を発信して、より多くの人へ伝えていきたい」と語る。(オルタナS副編集長=池田真隆)



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